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臨済宗大本山 円覚寺

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2023.08.13
今日の言葉

尊敬する方からいただく

私が心から尊敬申し上げる僧侶の一人に、堀澤祖門先生がいらっしゃいます。

堀澤先生は、昭和四年のお生まれですので、今年九十四歳になられます。

先日比叡山でお目にかかって、とてもお元気なご様子でありました。

ただレセプションの席にはお見えになりませんでしたので、親しくお話することはかないませんでした。

比叡山から帰ってきて、数日、堀澤先生から郵便物が届きました。

なにごとかと思って開封してみると、堀澤先生の歌集が入っていました。

比叡山で少し挨拶しただけですのに、私のことを思い出して送って下さったのだと思いました。

実に有り難いことであります。

堀澤先生との出会いもまた比叡山でありました。

初めて比叡山の宗教サミットに参加した時のことでした。

控え室では各宗派の管長様方がずらっと勢揃いされていました。

私は新米の若輩管長ですので、隅っこの方で小さくなっていました。

末席から恐る恐る、各管長さま方のご様子を拝見していました。

各本山の管長さまというと、だいたいかなりのご高齢でいらっしゃいます。

そんな中に、ひときわ姿勢の美しい、凜としたたたずまいの老僧がいらっしゃいました。

その方が堀澤祖門先生でいらっしゃいました。

写真でお顔を拝見したこともありますので、あの方が堀澤先生なのだと思っていました。

そうしましたら、式典のあとのレセプションで、なんと私はその堀澤先生の隣に坐らせてもらったのでした。

こちらは緊張して坐っていると、堀澤先生の方から親しくお声をかけていただいたのでした。

その時に初めて堀澤先生は、お若い頃に大徳寺の僧堂で臘八の摂心に参加されたこともあると知りました。

臨済の坐禅にも詳しいのでありました。

堀澤先生は、比叡山でも千日回峰行と並ぶ難行とされている十二年籠山行を満行された方でいらっしゃいます。

十二年籠山行というのは、延暦寺の聖域にあたる最澄、伝教大師のご廟所である浄土院に籠って、あたかも伝教大師が生きているかのようにお仕えして、祈りを捧げる毎日を送るのです。

十二年間は、結界を出ることはできないのであります。

堀澤先生という方は実に求道一筋の方でいらっしゃいます。

我々は坐禅といいますが、天台では止観と言います。

比叡山で修行なされても、この止観について、より一層深く学ぼうと思って、坐禅の修行を専門とする臨済宗の門を叩かれたのでした。

また籠山行の時に、ヨーガの佐保田鶴治先生と出会い、ヨーガもなさっておられます。

これは十二年籠山の間に、身体を壊されたりして、ご自身で体操したり、逆立ちをなさったりして、そこから佐保田先生にヨーガを習われたりなさったのであります。

それだけに身体のことも詳しいのであります。

また叡山学院長もお勤めになられ、比叡山の行学を究めた方でいらっしゃいます。

私が、初めてお目にかかった折にもいろんなお話をうかがいましたが、印象に残っているのは、坐禅している時は、止っているように見えるけれども仙骨の微細な運動があるのだということでした。

仙骨の微細な運動というのはどういうことなのか、とても不思議に思ったのでした。

その後、堀澤先生とのご縁は深まって、当時住職されていた大原の三千院にうかがって、その仙骨の運動などを教わってきました。

また円覚寺にお越しいただいたこともあります。

円覚寺にお見えになった折には、九十歳くらいでいらっしゃいましたが、お一人で荷物を持ってお越しになって驚いたのでした。

足腰の鍛錬を怠っていないのであります。

ご自身で創作された筋力体操というのもあって、これも教わったものでした。

堀澤先生が和歌をお作りになるのは存じ上げていましたが、歌集を拝見するのは初めてであります。

歌集の題名は、「八王子山讃歌」というものです。

あとがきには「九十歳を過ぎた現在では「終の終の山」とも名づけるべき山がこの「八王子山」である。

この山に登り始めてからその時々の感動を短歌に表現することが出来た。

それがこの歌集 「八王子山讃歌」 である。」

と書かれています。

八王子山というのは、どういう山かというと、あとがきには、

「この山はいわば比叡山の山脈のなかの一峯で古くは小比叡とも呼ばれ、坂本の日吉馬場からも眺めることができる高さ400mの山形の美しい山である。

頂上の真下には金大巌(こがねのおおいわ)という巨岩があり、その大巌を挟んで二つの立派な奥宮がある。

それも坂本からはっきり拝むことが出来る。」

と書かれているのであります。

そして堀澤先生は、
「この歌を読んでもらえば解ることだが、私にとってこの八王子山は運命の山であった。

この山に登ることによってさすがに老化した肉体の強化がなされ得たのであり、この山への拝登は私の生への強い希望となってくれたのである。」

とも書いていらっしゃいます。

それほどに思い入れの深いお山なのであります。

「木の根」という章があって、そのなかに、

岩を抱へて太く根を張る大木の生きざまに深く打たれてゐたり

したたかに踏みつけられて傷つきし木の根踏みえず跨いで通る

などの分りやすく、大らかで、気持ちのこもった和歌が載せられています。

堀澤先生からいただいた教えの数々を思い起こしながら、拝読しています。

尊敬する方からいただくものは、実に有り難いのです。

 
横田南嶺

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