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臨済宗大本山 円覚寺

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2023.07.12
今日の言葉

呼吸法の色々

呼吸法には古来いろいろあります。

一般には、腹式呼吸、胸式呼吸と言われたりします。

『広辞苑』で調べると、胸式呼吸とは、

「主として肋間筋による肋骨の運動によって行う呼吸。女性では胸式呼吸が優勢で、また安静時に一般に見られる」もので、腹式呼吸というのは、

「主として横隔膜の伸縮によって行う呼吸法」を言います。

一般に腹式呼吸というと息を吸う時にはお腹を膨らまし、吐く時にはお腹をへこますというものでしょう。

二木謙三先生(1873~ 1966)の二木式腹式呼吸法というのは、その呼吸であります。

息を吸うときは先ず空気を鼻より入れ胸を通して上腹より下腹へ入れるようにします。

息を吸う時に腹が膨れ腹に力が入り幾らか固くなるように心して行うのです。

息を吸い終わつた時は、直に吐き出さずに二、三秒の間少し堪へて精神を落ち着けてから自然に長く、息を臍下より上に押出し胸を通して鼻より吐き出す様にするのです。

息を出すときには腹が平生よりは少し凹んで少しく固くなるのであります。

吸うときより吐くときに注意して力を入れ、かつ長く徐々に出すことが肝要だとされています。

分りやすい呼吸法であります。

こうしたゆったりとした腹式呼吸によると、副交感神経が優位になって、リラックスして心が落ち着くものであります。

二木先生と共に、同じ頃呼吸法として有名なのが、藤田霊齋(1868~1957)先生と岡田虎二郎(1872~1920)先生であります。

岡田先生と二木先生とは一歳しか違いがありません。

藤田先生は、お二人より、少し年長でいらっしゃいます。

藤田先生の呼吸法は、『調和法身心健康法』という書物によれば、

「先ず腰を以て下腹を前へ押し出すようにし、そうしてその下腹を膨らませてそこにウーと力を加える。

便ち腹圧を高める。

それからその下腹よりして常に息が自然に呼出吸入さるるようになっておらねばなりませぬ。

言い換えれば下腹を膨らませてそこにウンと力を入れ、そうしていつもそこから息の出入りが出来るようになっておらねばならぬということになるのであります。」
というものであります。

岡田先生の呼吸法もよく似たところがあります。

岡田先生の『岡田式静坐法』という本には次のように書かれています。

正しき呼吸法

一正しき呼吸は息を吐く時下腹部(臍下)に気を張り自然に力の籠るやうならざるべからず。

二その結果として息を吐く時下腹膨れ堅くなり力満ちて張り切るやうにならざるべからず。

三臍下に氣の満つる時胸は虚となる。

四吐く息は緩くして長し。

五息を吹う時は空気胸に満ち来りては胸は自然に膨張す、胸の膨るる時臍下の脹(はり)は自然に軽微の収弛を見る。

六胸の膨るる時も腹は虚となるにあらず。呼気吸気に拘はらず重心臍下に安定して其処に氣力の不断の充実なかるべからず。

正しき呼吸は吸う息は短し

健全なる呼吸は他人が見て分らぬ位に平静なるべし。

というものです。

そこで、二木先生の呼吸では、吐く息でお腹がへこみ吸う息で膨らむのに対して、岡田先生の呼吸では、吐く息でお腹が膨らみ、吸う息でへこむので逆だとも言われます。

どちらがいいのかという議論もあります。

時には、岡田先生はあまりに短命だったので、岡田先生の呼吸法はよくないといわれることもありました。

しかし、呼吸法はそれぞれなのであります。

二木先生の腹式呼吸は、気持ちをゆったりと落ち着かせるのにはとても良いものです。

しかし、坐禅の修行や或いは武術の鍛錬などでは、ゆったりするだけでは十分ではありません。

そこに気力活力が満ちるものがなければなりません。

最近、「お腹をへこませずに息を吐く」「IAP呼吸法」というのがあると学びました。

IAPとは日本語に訳すと「腹腔内圧(腹圧)」というものです。

腹式呼吸の場合、「息を吐くと同時にお腹をへこませる」のですが、腹圧呼吸では反対にお腹をへこませずに、息を吐くときも圧をお腹の外にかけるように意識して、お腹周りを「固く」するものです。

腹腔の圧力が高まることで体の軸、すなわち体幹と脊柱という「体の中心」が支えられることになるというものです。

こちらは、『スタンフォード式疲れない体』という本に書かれていました。

岡田式の呼吸法によく似ています。

これなどは、スポーツの選手などが取り入れているものらしいのです。

激しい競技などを行うのに、体幹がしっかりしていないとけがをしたりします。

俊発的に力を発揮するにも体幹がしっかりしていることが必要でしょう。

武術の修行などにも、丹田を意識して鍛えることが大切にされてきました。

岡田式の呼吸などは、単にリラックスするだけでなく、気力を充実させるものであります。

岡田先生は丹田を鍛えることを重視されていました。

「丹田が神性の殿堂である。殿堂が立派にできて、神性が伸び、ほんとうの人間ができるのである。」

「満身の力を丹田にこめての一呼吸一呼吸は、肉を彫刻してゆく鑿だ。丹田の一点の外、力を入れるな。ひと呼吸、ひと呼吸に自己という大芸術品を完成せよ。」

という言葉もございます。

呼吸法にはそれぞれの特性がありますので、よく弁えて用いればよろしいものです。

どれがダメだという必要はないと考えています。

必要な時に必要な呼吸法を取り入れればよろしいのであります。

もっとも最近は無意識の呼吸も大切だと学びました。

本間生夫先生の『すべての不調は呼吸が原因』に書かれています。

「一方、いちいち意識しなくても勝手に行なわれている普段通りの呼吸が代謝性呼吸。

この呼吸は脳の脳幹にある呼吸中枢によって制御されていて、「酸素を取り入れてエネルギーを生み出し、二酸化炭素を排出する」というエネルギー代謝を日々自動的に行ない続けています。

そして、二酸化炭素の調節システムは、この「無意識に行なわれる代謝性呼吸」のときのみに作動して、「意識して行なう随意呼吸」のときには作動しないメカニズムになっているのです。

ですから、深呼吸のような「意識して行なう呼吸」をずっと続けていると、二酸化炭素の調節システムが作動せず、かえって体内バランスを崩すことになってしまう」というのであります。

あまり意識して呼吸ばかり行うのも問題なのです。

時には意識せずに無意識の呼吸によっても体は調整されているものです。

 
横田南嶺

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