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臨済宗大本山 円覚寺

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2023.06.04
今日の言葉

新しい生き方

二〇二〇年の五月十七日の管長日記に村上和雄先生の言葉を引用したことがあります。

もう十数年前の新聞切り抜きであります。

村上先生のコラム記事でした。

「『地球に優しく』に潜む人間の驕り」という題です。

「地球にやさしい技術開発というが、それは人間の傲慢を表しているのではないか。

むしろ地球が優しいからこそ、われわれはいま生存できているのではないか。

……私たちは、サムシング・グレートを含む自然や他の動植物のおかげで生かされて生きている。

その真実を再認識し、人間至上主義を変革することが必要ではないか」

と訴えられていました。

自然に優しくしてもらっているからこそ、お互いは生きていられるのです。

ほどよい気候であり、水もあり、大地もあり、日の光もあります。

大自然の恵みのおかげで生かされています。

お寺にいるとそんな思いを強くします。

山に囲まれ、鳥が鳴き、大地で作物が育っています。

しかし、自然は時として猛威を振るうこともあります。

災害を起すこともあるのです。

大雨が続いて川が氾濫すると、大きな災害になってしまいます。

川というのはもともと氾濫して当たり前なのですが、氾濫しないようにと人は堤防を作りました。

はじめは土を盛り上げたものだったのが、コンクリートの堤防を作りました。

更にはダムを作って水を調整しました。

大地震でも家が壊れないようにとコンクリートで頑丈な家を作るようになりました。

更には安定した電力が供給できるようにと原子力発電所まで作りました。

しかしながら、そんな人間の活動が自然を破壊してきたことも事実です。

昨年七月九日の毎日新聞には『「絶滅」3割でリスク増 野生生物、人間の乱獲影響』という記事がありました。

記事には「絶滅の恐れがある種の約3割は、人間の乱獲などによってさらに絶滅リスクが高まっているとする報告書を、世界の科学者が参加する政府間組織「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)が8日、公表した」と書かれていました。

「報告書によると、食料やエネルギー、医薬品など、人間が暮らし、経済活動のために利用している野生由来の動植物は世界で約5万種に上る。

だが、天然の水産資源の34%が乱獲され、将来にわたって利用し続けることが難しくなっている種も多い。

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種」か、絶滅危惧種になる懸念がある「準絶滅危惧種」とされた動植物のうち28~29%は、人間が乱獲など持続可能ではない利用をしていることで絶滅のリスクが高まっている」

のだそうです。

こういう問題はどうしようもないとあきらめるわけにはゆきません。

お若い人の中にも高い問題意識をもっておられる方もいらっしゃいます。

昨年のZEN2,0の企画でソーヤー海さんという方の話を聞くことができました。

ソーヤー海さんというのはどういう方かというと、本人が監修された『都会からはじまる新しい生き方のデザイン』という本の略歴を参照しますと、

東京アーバンパーマカルチャー創始者。

1983年東京生まれ、 新潟、ハワイ、大阪、 カリフォルニア育ち。

カリフォルニア州立大学サンタクルーズ校で心理学、有機農法を実践的に学ぶ。

2004年よりサステナビリティーの研究と活動を始め、同大学で「持続可能な生活の教育法」のコースを主催、講師を務める。

元東京大学大学院生 (単位取得後、自主退学)。

パーマカルチャー、非暴力コミュニケーション、禅、ファシリテーションのワークショップを行ったり、気候変動活動×若者のエンパワーメントを海外からの依頼・支援を受けながら楽しく活動している。

自称活動オタク。

より愛と平和のある社会を自分の生活で実践しながら、社会に広めている。」

という方なのであります。

パーマカルチャーとはどのようなものなのか、ソーヤー海さんの本から引用させてもらいます。

「パーマカルチャーは、1970年代半ばに南太平洋の小さな島で産声をあげた。 誕生の地は、 オーストラリア大陸の南に浮かぶタスマニア島。

当時タスマニア大学で生物学を教えていたビル・モリソンと、彼の教え子だったデビッド・ホルムグレンの2人が産みの親だ。

パーマカルチャーという言葉は、「permanent(永久の)」と「agriculture (農業)」 をつなぎあわせ、彼ら2人がつくり出した造語だ。

環境や生態系を破壊することなく、 自然の豊かな恵みによって人間の必要性を満たす、 さまざまな技術のこと。

農業や生物学を基盤にしていて、植物の植え方から動物の飼育方法、家の建て方まで、カバーする範囲は広い。

というと小難しく聞こえるかもしれないけれど、要するに、 農村のお百姓さんなら誰もが持っていた知恵であり技術だ。

パーマカルチャーには、 持続可能な農的暮らしを送るための技術が詰まっている。」
というのであります。

要は大自然と共に生きることを言っているのだと思いました。

私たち禅の修行道場でも何も特別な修行をしているのではなく、畑を耕して野菜を作り、薪を割ってご飯を炊くという、かつての農家の暮らしを実践しているだけのことなのです。

しかし、昔の農家の暮らしに帰ることだとなると、現代の社会では無理であります。

ソーヤー海さんは更に

「けれども、パーマカルチャーを農業技術としてだけ捉えると、その本質をつかみ損ねることになる。

パーマカルチャーとは、モリソンの言葉を借りれば、「人間にとって恒久的に持続可能な環境をつくり出すデザイン体系」 だ。」
というのです。

更にソーヤー海さんは、

「人間と自然、 土と植物, 植物と動物など、 人間の暮らしの周辺にあるさまざまなモノ同士の「関係性」に注目し、それらを適切に配置すると、 少しの資源で多くの恵みを得ることができる。

さらにパーマカルチャーは、 人間関係や社会の「デザイン」にも応用することができる。

そして何より、 人間が自然の一部であり、 自然と分かちがたくつながっていることを思い起こさせてくれる。

いわば、パーマカルチャーが提供できるのは 「新しい生き方のデザイン」。

いかに今ある状況、 今ある自分の身の回りの資源を最大限に活用して、より幸せな、豊かな生き方を作れるかがポイントだと思う。」

というのであります。

素晴らしい発想であり、その新しい生き方を実践なさっているソーヤー海さんという方に興味を持ったのでした。

今は、自分だけ生きればいいとか、人間だけが生き残ればいいという考えでは、行き詰まりとなるのは自明の理であります。

新しい生き方が求められます。

新しい若い人に期待したいのです。

六月十八日円覚寺でソーヤー海さんと対談をする企画があり、今から楽しみにしています。

まだ席が残っているそうなので、お時間のある方はどうぞお越しいただければと思います。

 
横田南嶺

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