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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.12.15
今日の言葉

三者三様の法話

心に残る法話会でありました。

やってよかったと思える法話会でありました。

先日の三者三様の法話会であります。

これは、東京都世田谷区野沢の龍雲寺ご住職の細川晋輔さんと、神戸市須磨寺の小池陽人さんと私と三人の法話会を行ったのでした。

私如き者に、この若きお二人がお付き合いくださっていて、ある日のこと三人で話をしていて、ふと三人で法話会をしてみよういう話になったのでした。

落語には、二人会とか三人会というのがございますが、法話では珍しいと思いました。

はたしてどうなるものかと思いましたが、開催してよかったとしみじみ思う会となりました。

これはひとえに、わざわざお越しいただいた細川さんと小池さんのおかげであります。

とりわけ小池さんには年末のお忙しい時に、前日から鎌倉にお越しいただき、貴重な二日間を費やしていただくことになりました。

こういう三人会は、順番が難しいものであります。

私が一番に行うようにしました。

何せ、一番はじめが一番気楽であります。

自由に話せます。

そしてあまりうまくゆかなくても、それはかえって後の人の法話を引き立てることになりますから、むしろ頑張らない方がいいのであります。

そこで今回は思い切ってくだけて行ってみました。

高座をしつらえて、落語家さん風に行ったのでした。

もっともあの「高座」というのは元々はお寺のお説法の座で、お坊さんが坐って説法するためのものでした。

元来説法は坐って行いました。

禅宗で最も正式には、高座の上に坐禅を組んで話をします。

高座の上に見台をおいて、そこに無門関や碧巌録という講本を置いて講義しますと「提唱」という形式になります。

今も私は夏期講座の折には、この形式をとるようにしています。

いつの頃からか、立って話をするように変わっていったのだと思います。

落語家さんの方が昔からの伝統を守っているのでしょう。

そこで私が本来の高座にあがると、落語家さんのようだと言われるようになってしまったのです。

私がお二方の前座ですから、前座の話というのは軽いものがいいので、ほんの軽い話をさせてもらって、皆さんに笑っていただきました。

お二方の話を聞いていただく為の準備運動のようなものです。

十分に場を和ませておいて、二番目は細川さんでした。

この法話会、実に三人ともお互いに何を話すのか全く打ち合わせなしで、当日まで分からないのでした。

細川さんは、はじめに高見順さんの詩を紹介され人の心に何かを配達することの大切さから始められました。

細川さんのおじいさまは松原泰道先生です。

松原先生もまたこの高見順さんの詩をよく引用されていました。

高見順さんと松原先生は同じお年でありました。

松原先生を思い出しながら拝聴していました。

なにかおれも配達しているつもりで
今日まで生きてきたのだが
人々の心になにかを配達するのが
おれの仕事なのだが
この少年のようにひたむきに
おれはなにを配達しているだろうか
         (おれの期待5)
 
そこから更に細川さんは「一期一会」という言葉について語ってくださいました。

一期一会、一生涯に一度の出会いであります。

井伊直弼の言葉といわれています。

一生に一度と心得てお互いに心を尽くせという教えであります。

この言葉を細川さんは、このコロナ禍にあって、心に深くしみたと語ってくださいました。

深さに打ちひしがれると仰っていたのが印象に残りました。

それは細川さんのまだ幼いお嬢さんの話でありました。

この話は、最近出された『禅の調べ』にも載っていますので、そちらを参照していただければと思います。

聴いていても、涙がにじんでくる話でした。

最後に松原泰道先生が日めくりカレンダーを用いておられたという逸話を紹介しながら、今日という一日は一生涯の中の一日ではなく、全生涯が今日一日だと力強く話してくださって終わりました。

始まりから全体の構成、とてもよくできた法話でありました。

そして最後は小池陽人さんでした。

小池さんは、真言宗の黄色の袈裟法衣、いつもYouTubeでお話になっている姿で登壇されました。

法話会のあとで、とある参加者が、「小池さんは登場するだけで周りがパッと明るくなった気がしました」と語っておられました通り、小池さんがそこにいらっしゃるだけで明るくなるのです。

はじめに小池さんは、こうして法話会で皆さんに話を聞いていただくことが一番幸せなのだと仰いました。

こういう気持ちでいらっしゃることが素晴らしい法話につながるのだと思いました。

小池さんはよく「一切皆苦」ということを説かれます。

今回も「一切皆苦」人生思い通りにゆかないというのが、仏教の根本精神であり、このことを深く深く知ることによってこそ、生の意味が深まると話してくださいました。

思い通りにならないことを基準にすれば、生きることが豊かになると分かりやすく説いてくれていました。

そこから思い通りには全くならない修行道場の生活に話を展開されて、最後はご自身の四国遍路の話で終わりました。

思い通りにならないと分かっていても、私たちはその時時の感情に振り回されてしまいます。

そこでこの感情について、三つのことを教わりました。

これは勉強になりました。

まず第一に感情は、思えば思うほど強くなるということです。

嫌だなと思って、更に嫌だ嫌だと思うと思うほど強くなってしまいます。

そこで二番目には、感情は思わないと長続きしないということです。

思う事をやめてしまえば、感情もいつしか和らいで消えてゆくものです。

三番目には、感情は手足を動かしていると薄まるということです。

あれこれ考えているよりも一所懸命に掃除機でもかけて 体を動かして掃除していると部屋も心もきれいになります。

感情はあてにならないと知って感情に振り回されないことが大事だと説いてくださいました。

最後には四国遍路のお話でありました。

シンプルオジサンの話は何度伺っても心に響きます。

生きてるだけでじゅうぶん、生きているということにこそ意味があるというお言葉には、参加された皆勇気づけられたと思いました。

小池さんから明るい元気をいただいたのでした。

最後には三人で座談を行い、会場からの質問を受け付けました。

皆さんに喜んでもらえて有り難い三者三様の法話会でありました。

 
横田南嶺

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