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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.07.23
今日の言葉

朝日を拝む

黒住教という教えがございます。

教派神道の中の一派であります。

江戸時代の終わり頃にできたものです。

教祖神は黒住宗忠という方です。

安永9年(1780年)11月26日の冬至の日の朝に生まれています。

代々岡山で神職をつとめる家に生まれました。

幼少の時より親に対する孝行のこころがあつかったそうなのです。

二十歳の頃には「生きながら神になる」という志を立てました。

宗忠は「心に悪いと思うことを決して行わず、善きことのみを実行する」との厳しい目標を自らに課してゆけば、必ず神になると思われたのでした。

純粋な方でいらっしゃいます。

しかしながら数え33歳の時、なんと大事な両親が流行病によりわずか一週間の内に相次いで亡くなるということになってしまいました。

親孝行なだけにその悲しみがつのり、とうとう宗忠自身も不治の病といわれた肺結核に侵されました。

そして二年ほどすると明日をも知れない状態に陥りました。

死を覚悟した宗忠は、文化11年(1814年)1月の厳寒の朝、幼いころから両親とともに毎朝手を合わせてきたように、日の出を拝みました。

この最期の思いでお日様を拝んだ祈りの最中に、宗忠は知らず知らずのうちに大変な親不孝をしていたことに気づきました。

そして心だけでも両親が安心する人間に立ち戻らねばならないと大きく心を入れかえたというのです。

こうして心が大きく転換したことによって暗く閉ざされた心のなかに陽気な感謝の気持ちがよみがえりました。

その結果不治の病も克服したのでした。

その年の11月11日、冬至の日に昇る朝日に格別の思いで祈りを捧げていると、宗忠は全ての命の親神である天照大御神と神人一体になったという体験をされたのでした。

黒住教では、このことを「天命直授てんめいじきじゅ」と言っています。

そんな教祖の教えをもとに黒住教では、教祖さまの天命直授の日拝にならい、日の出の太陽を呑み込む思いで「御陽気をいただきて下腹におさめ天地とともに気を養う」ことを大事に行じています。

御陽気を下腹におさめて「天地と共に気を養い、面白く楽しくこころにたるみなきように」生きるのが黒住教の教えなのであります。

黒住宗忠の教えにはかねてより関心をもって学んでおり、坂村真民先生も学んでいたと知って、数年前に黒住教の本部にお参りしたことがありました。

一度この黒住教の本山で毎朝行われている日拝という祈りに参加してみたいと思っていました。

岡山県高梁で講演したあと、岡山で一泊して、翌朝神道山にのぼり、念願の黒住教日拝にお参りさせてもらいました。

朝四時半まだ真っ暗な中を山に登ってゆくと、日拝の場には、すでに第六代教主の黒住宗晴先生が正装して端座しておられました。

誰もいない中、一番早く来てお坐りになっているお姿に感銘を受けました。

そして四時五十分頃に、現在の教主である黒住宗道先生がお見えになり、厳かに日拝が始まりました。

その日の天気予報は雨で、しかも神道山にのぼり始めたときにはポツポツ雨が降って、今日はお日様は拝めないとあきらめていましたが、なんと雲の切れ間から、朝日を拝むことができたのでした。

大感動でした。

雲がありましたので、その雲から降り注ぐ日の光は、まさに神いましますことを感じました。

大祓の祝詞を唱和していると、蝉たちも泣き出しました。

鳥たちも飛び交うのでした。

くらやみから明るい日の光の満ちる世界に変わってゆくのを全身で感じました。

最後にはお日様の光を吸うという行を皆で行いました。

わたくしは六代教主さまの近くに坐らせていただきましたので、六代さま大きく口から日の光を吸い、下腹に納める息遣いがよく伝わってきて、大きな学びでありました。

黒住宗忠には「道の理」という教えが伝わっています。

これが素晴らしい言葉なのであります。

それは「凡(およ)そ天地の間に万物(ばんもつ)生々する其の元は皆天照大御神なり。是れ万物の親神にて、其の御陽気天地に遍満(みちわた)り、一切万物、光明(ひかり)温暖(あたたまり)の中に生々養育せられて息(や)む時なし。実に有難き事なり。」という一節で始まります。

訳しますと、

「天地大自然の中のすべての生命の大元は、天照大御神です。

天照大御神は万物の親神で、そのご陽気は天地に満ち渡り、すべての生き物がその光と温もりの中で生成養育されて止むときはありません。

実にありがたいことです」

というところです。

また黒住宗忠の和歌に、

天照らす神の御心人こころ
  ひとつになれば生き通しなり

というのもございます。

神様とひとつになる、天地大自然とひとつになれば、生き死には無くて生き通しなのであります。

また黒住宗忠の教えに、「無を養う」ということがあります。

私たちは、皆誰しももともと何も無いところから出て来た身でありますので、心の根本である無を常々養うことこそ、天照太神の御霊(みたま)を養うことになるというのです。

無を実現するには、「人欲を去り、正直に明らかになれば日の神と同じ心」になることです。

我欲を離れて、正直に公明正大であれば、大御神と同じ心になるというのです。

いろんな宗教の行事に参列させてもらってきましたが、見晴らしのいい屋外で朝日を拝むというのは、素晴らしいものだと感動しました。

何でも現場に行ってみないと分からないと思ったものでした。

かねてからお参りしてみたいと願っていた黒住教の日拝に参加できてありがたく感謝しました。

 
横田南嶺

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