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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.05.30
今日の言葉

寝てする禅

禅は元来、行住坐臥、行くも住するも坐すも臥すも、そのすべてにおいて行われるものであります。

坐禅は、その基本なのであります。

歩いて行うのは、歩行禅と言ったりしています。

立ったまま行うのは立禅であります。

そして横になって行う禅も当然ございます。

これは、特に私たちでは、かの白隠禅師が推奨されたことで知られています。

もともと白隠禅師が、あまりにも激しい修行を長くなされた為に身心共に疲弊してしまい、体を壊してしまったことがありました。

二十六歳の頃であります。

その頃の症状はというと、頭は火の如く熱し、腰から下は冷えて氷のごとく、両眼常に涙をおび、両耳には、こもごも怪声を聞き、明るいところでは、ひとりでに怖れを生じ、くらいところでは自然にうれいかなしみ、ものごとをかんがえる力もなく、毎夜悪夢にうなされ、眠りからさめれば、頭はボーッとして食欲も消化力もなく、衣服を何枚着ても温かさを感じなかったというような具合だったのでした。

あらゆる鍼灸医にも見放され、生への希望も失われていったのでした。

そんな時に、京都の白河の奥に隠棲する白幽仙人に「内観の法」という養生の秘訣を伝授されたのでした。

それを真剣に実践して、大病も克服することができたのでした。

それからの白隠禅師の活躍は世に知られた通りであります。

お亡くなりになるまで、精力的に活動されました。

その功績を直木公彦先生の『白隠禅師 健康法と逸話』には次のように記されています。

「白隠禅師がおとろえていた日本の禅宗を改革して統一復興し、禅中興の偉業をなしとげたということは、日本文化史上、また日本民族の精神形成上、見のがすことのできない偉大な功績であります。

禅師は無為徒食と、無気力と、無活動とをいましめ、形式仏教、みえ仏教、因習仏法、寺院仏法を排斥し、正念工夫不断相続、創造と努力精進向上続行をとうとび、実行と行動、行為の大切さ、真の生きて働く仏法を説き、各人の心魂に徹して、生活面に生きて働き出してくるように指導しています。」

という通りであります。

さて、その内観の法とはどのようなものかというと、『白隠禅師 健康法と逸話』には分かりやすい現代語訳がありますので、引用させていただきます。

「床に入り、眠りに入るまえに、両脚を長く踏みそろえ、一身の元気を臍のまわりから気海丹田、腰、股や両脚から足のうらに下し充して、つぎのように何回も繰りかえし繰りかえし内観するのである。

わがこの気海丹田腰脚足心、まさに是れわが本来の面目、面目なんの鼻孔かある。

わがこの気海丹田、まさに是れわが本分の家郷、家郷なんの消息かある。

わがこの気海丹田、まさに是れわが唯心の浄土、浄土なんの荘厳かある。

わがこの気海丹田、まさに是れわが己身の弥陀、弥陀なんの法をか説く。

このようになんどもなんども打ちかえし、繰りかえし、想像し、観念し、想像力を集中するがよい。

観念想像力構造の効果がつもってあらわれてきたならば、一身の元気はいつしか、腰や脚部や足のうらに充ち満ちて下腹部の丹田はヒョウタンのように、かたくなってくるのである。」

という通りなのです。

以前にも紹介したことがありますが、平林寺の松竹寛山老師は、『禅文化』二五九号で、この内観の法を詳しく親切に解説してくださっています。

松竹老師の、内観の文の意訳も参照させていただきます。

わがこの気海丹田、腰脚足心は本来の自分。
本来の自分はどんなだろう。

わがこの気海丹田、腰脚足心は心のふる里。
心のふる里はどんなだろう。

わがこの気海丹田、腰脚足心は心の安らかな世界。心の安らかな世界はどんなだろう。

わがこの気海丹田、腰脚足心は阿弥陀さまの世界。阿弥陀さまの世界はどんなだろう。

というのであります。

こういう意識を用いて、下腹に気を集めて充実させるのです。

白隠禅師は、

「神といい、丹というのは、はたして、人体の外部にあるものでありましょうか、いやいやこれこそ、身内の神性、仏性生気にして、唯心こそそのものであります。

ただただ心をしずめ、身心をととのえ、心気を気海丹田の間に満たすだけでよろしいのであります。心が落ちつき、心の棲家に心が住んで、正しい心に澄んできたら、心の奥にある本来の仏性は大生命力そのままの姿で自覚され働きあらわれてくるのであります。」
と仰せになっているのであります。

マインドフルネスの実習に、ボディスキャンというのがあります。

体を足先から順番にスキャンしてゆくように意識してゆく方法です。

川野泰周さんから教わりました。

ただいまはYouTubeからも川野泰周さんのガイダンスを聞くことができます。

十六、七分ほどでできます。私もよく活用させてもらっています。

そのボディスキャンの要領で、丹田と脚と腰と足の裏に意識をもってゆけばそのまま内観の法になります。

最近、円覚寺の坐禅会や、白山道場の坐禅会に熱心に通っておられた方から、「ね禅」というのを教わりました。

まさしく寝てする禅なのです。

この方は、理学療法士として長年勤めておられ、最近はコロナ患者のリハビリも担当なさるようになったのだそうです。

昨年からはコロナ患者さんが急増し、そうして苦しんでいる方々のリハビリを担当しているうちに、「坐禅が役に立つのでは?」という気持が起きて「ね禅」を思いつかれたというのです。

具体的な方法は、ブログをご覧になってもらうと分かりますが、よく考えられていると思いました。

仰臥の姿勢ですが、この方の長年の理学療法士としての経験から、横になって、両膝を立てて、腰に負担のかからないようにするのが特徴で、これはなるほどと私も眼から鱗の落ちる思いでした。

体調の悪い時にも横になって、或いはベッドの端に腰掛けてもできるように工夫されています。

お寺で長年坐禅されて、それを今の時代で病に苦しむ方の為に活用されていらっしゃるそのお心に深く感銘を受けました。

「ね禅」お勧めです。

 
横田南嶺

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