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臨済宗大本山 円覚寺

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2020.11.13
今日の言葉

無位の真人 – 其の二

昨日の小欄で、「無位の真人」について書いた後、本山の寺務所で、全日本仏教会の機関誌を読んでいました。

表題は、「〈仏教とsDGs〉現代社会における仏教の平等性とは~女性の視点から考える~」というものでした。

sDGsとは、この頃よく目にするようになりましたが、「持続可能な開発目標」という意味だそうです。

全日本仏教会も、「国連の持続可能な開発目標の実現を支援します」と宣言しているそうであります。

ページを開くと、はじめに法政大学総長の田中優子先生の提言が目に入りました。

田中優子先生は、毎日新聞にコラム記事を書いてくださっていて、毎回深い内容なので私も注目しています。

田中先生は、近代の女性解放運動の定流には仏教があると指摘されています。

「仏教の本質を平等と見たある個人によって、仏教はその人の思想と精神の拠り所となりました。

ある個人とは、平塚らいてうです」

と述べられています。

平塚らいてうは、1911年9月『青鞜』創刊号で、「元始女性は太陽であった」と述べ、当時の女性たちに大きな影響を与えたのでした。

その創刊号の中では、お釈迦様が端座六年の末大悟したという話を書かれているそうです。

「奇なる哉一切衆生、如来の知恵徳相を具有す。

又曰く、一仏成道して法界を観見するに、草木国土悉皆成仏す」

という言葉も紹介して、全ての人に仏性があるという平等の基本を、平塚らいてうは仏教から学んだのだと、田中先生は指摘されています。

この『青鞜』を出版したとき、平塚らいてうは二十五歳、らいてうが仏教に触れた縁について、田中先生は、

「きっかけは友人から借りた今北洪川の『禅海一瀾』という本でした。

これは当時の知識人の共通語である儒教の言葉で仏教を語る書物です。

この中に「大道は心に求む。外に求むることなかれ。

我が身体の妙用は、直ちに我が大道なり、儒仏の差別を差し挟むことなかれ」とあります。

当時20歳くらいで、迷っていたらいてうは、自己の中に拠り所ををみつけることが大切なのだと気がつきました」

と書かれています。

更に、

「実際に坐禅を始め、さらに『臨済録』を読むようになったらいてうは、

「赤肉団上に一無位の真人有って、常に汝等諸人の面門より出入す」という一文に対し、実際に坐禅の中で「わかった」、つまり誰の中にも「真人」なる「人」がいるという実感を得たそうです。

これがらいてうの思想の基本となりました」

と指摘されています。

ちょうど無位の真人について書いたところでしたので、この文章を読んで驚き、感動しました。

平塚らいてうは、1886年(明治19年)の生まれで、1971年(昭和46年)にお亡くなりになっています。

亡くなったのは、私が七歳の頃でした。

坐禅をしたというのは、釈宗活老師に参禅されたのでした。

釈宗活老師という方は、明治3年のお生まれで、昭和29年に83歳で遷化されています。

二十歳の頃に今北洪川老師に参禅し、そののち釈宗演老師について修行して、宗演老師から印可を受けられました。

宗活老師は生涯お寺の住職にはならずに、両忘会を開いて主に在家の方に坐禅を指導された方です。

らいてうは、二十歳のころ、日暮里にあった両忘庵で参禅されたのでした。

らいてうは、宗活老師のことを、のちに、

「鎌倉円覚寺管長釈宗演老師の高弟だという宗活老師が、どんなお年寄りかと思ったところ、まだ三十を少し出た位の青年僧だったので、意外な感じに打たれました」

と述べています。

そこで「父母未生以前の自己本来の面目」という公案をもらって参禅されたのでした。

そんな体験が、女性解放運動の原動力になっていったのでしょう。

今日でこそ、男女同じく参政権がありますが、こういう先人のご苦労のおかげであります。

田中先生は、

「明治の初期、廃仏毀釈の後に仏教を拠り所にして「自立」の真実のところまで迫ったのが、日本の女性解放運動の素晴らしいところでした。

単なる政治運動ではなく、まさに人間の解放運動でした。

そのことを私たちはきちんと受けとめてきただろうかと今わたしは思っています」

と書かれていました。

この人間解放運動の原点に、平塚らいてうの参禅体験があったことを、今一度認識しなければならないと私も痛感しました。

無位の真人は、実に大きな力をもってその時代にはたらいているのであります。
 

横田南嶺

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