足がととのえば、全身ゆるみととのう
先日は西園美彌先生の講座を開催していただいたのでした。
三月以来ですので、久しぶりに行うという感覚であります。
西園先生は、お変わりなく御元気でいらっしゃいます。
私も先日お目にかかっていらい、いろんな変化はありましたが、おかげで元気で楽しく過ごさせてもらっています。
今回は、この春から新たに加わった修行僧もおりますので、魔女トレの基本、足をととのえることを丁寧に三時間教わりました。
はじめに修行僧たちに、なにか聞きたいことはないかと、問うてくださいます。
ひとりの修行僧が、別の講座で股関節を拡げる体操を行うのに、呼吸に合わせて行うことで、とても深くできるようになったので、呼吸との連動について聞きたいと言っていました。
この質問には私も興味を覚えました。
私などもよく、息を吸って吐いてと指導することがあります。
礼拝の動きの時などには、息を吐きながら体を屈め、息を吸いながら起こすというようにしています。
そのように言われてみて、西園先生はあまり呼吸についての言及はなかったと気がつきました。
西園先生は、丁寧に言葉を選びながら説明してくださいました。
体を強くねじる動きをなされながら、強く体を絞ると、息というのは自然に出ていくし、絞ったものをほどくと息が自然に入ってくると仰いました。
動きに合わせて呼吸するというのではなく、動きと共に呼吸が起こってくるのだと説明してくださいました。
呼吸は動きと共に生まれ続けるという表現にはなるほどと思いました。
動きに合わせて吐いたり吸ったりするのは、分かりやすいのですが、この大事な自然な息の発生という点では、粗雑になっているのだと思いました。
自然に発生する呼吸を感じるようになるのだというのです。
西園先生はご謙遜して自分は呼吸は苦手だけれども、自然な呼吸が出来ているときに、調子がいいなと感じることができるのだと仰っていました。
これは深い洞察だと感じ入りました。
もっとも動きに合わせて呼吸をするのはわかりやすいので、慣れないうちの稽古にはよいかと思います。
しかし、それでは精妙な呼吸が起きてくるという繊細な感覚を失いかねないのだと学びました。
それから他の修行僧から肩の痛みやつまり、足首の痛みなどについて質問がありました。
それぞれ体について悩みがあるようです。
自分の体の状態に気がついてなんとかしたいと思うだけでも、体に意識が向いて体は変わってくるものです。
西園先生に聞かれて自分で考えて、質問してみるという行為だけでも体には大きな変化があると思います。
西園先生は、たとえば長時間同じ姿勢をとっていたとしても、関節に遊びがある状態であれば、同じ形を保っているように見えても、その関節や筋肉は微妙に動かせると仰いました。
呼吸している時には、いろんな筋肉が動いて、肋骨や骨盤も微妙に動いているのです。
足首などの関節も微妙に、動きがあるといいます。
骨と骨の間に隙間ができるのだと教えてくださいました。
それが怪我などによって詰まってしまったり、ただジッとしていることだけにとらわれて体を固めてしまうのです。
関節に遊びのない状況だと血液も通らなくなるし、凝りやしびれ、痛みになるのです。
ヨガがなぜあんなにいろんな動きをするかといえば、あらゆる関節が動くという体を作ってこそ、長時間を坐ることができるようになるので、坐るために行っているのだと説明してくれました。
それから足のワークを丹念に行いました。
はじめにいろんなチェック動作が行われます。
足で床を押せているか、足の指でしっかり握ってつまめるかなど、二人一組になって確かめます。
それがワークのあとでどう変わるのかを見るのです。
今回は特に丁寧に行ってもらいました。
私も前の回のときに踵で床を強く踏むことができて感動したのですが、そのあと自分で行っていても、そのときのような力が出なくなっていました。
どうしたものかと思っていたのですが、足の指を一本一本、丁寧に関節を動かしてととのえて、足首をきちんと動かしていくと、また力強く床を踏む感覚が蘇りました。
こうして、これだと思ったり、また失われたり、また再生できたりを繰り返すうちに体に定着をしているのだと思います。
足の指の関節などは、第一関節、第二関節をそれぞれ緩ませるように動かしていくのです。
人差し指の第一関節などはまだ少し動きがありますが、第二関節となるとほとんど動きがありません。
それでもかすかな動きを誘発するように丁寧に行っていきます。
足首の曲げ伸ばしも方向がとても重要であります。
きちんと丁寧にととのえてゆきます。
そうしてはじめに左足だけを入念にととのえて立つと、左の足は地面深くまで刺さっている感じがします。
左側だけがどっしりと安定します。
西園先生が、目も変わって、景色が明るくなっていると仰いましたが、実にその通りなのです。
左の目はぱっちりと開いて、左側だけの景色がとても明るくなっているのです。
こんなに左右差を感じるのは私自身も驚いたほどです。
足をととのえるだけでこんなに変化があるのです。
そのあと右の足も行います。
そうして両足で大地を踏みしめて立つことができるようになります。
まさに足がととのえば、全身が変わる、全身がゆるむ、全身がととのう、外の景色までもが変わる、世界が広がる、明るくなる、そんなことを実感できました。
肩が痛いといっていた修行僧も足がととのうことで肩までがよくなったようです。
股関節から折り曲げることができなかった修行僧が、股関節から折り曲げてきれいな礼ができるようになっていました。
毎回のことながら、西園先生の講座に感動させられます。
足がととのうだけでこんなにも体も心も変わるのだと改めて実感したのでした。
横田南嶺