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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.03.05
今日の言葉

掲示板の詩

毎月月末になると、大東出版社の『坂村真民全詩集』全八巻をとり出して掲示板に書く詩を二遍選んでいます。

この習慣は思い返すとなんともう二十六年も続いています。

思えば、坂村真民先生の詩とのご縁をいただいたのは、昭和五十六年のことでした。

今からもう四十四年年前になります。

和歌山県新宮市で、当時高校二年生であった私が、たまさか立ち寄った書店で『生きてゆく力がなくなる時』という書物に出逢ったのでした。

これは柏樹社という出版社から出された本でした。

この本のタイトルに心惹かれました。

私は、お寺の生まれではないものの、不思議なご縁で小学生の頃から坐禅をしていました。

はじめて禅寺で坐禅をしたのが小学五年生でありました。

その時に出会った老師のお姿に感動したのでした。

中学生の頃には、その時めぐり会った由良町興国寺の目黒絶海老師に公案をいただいて参禅するようになっていました。

禅や仏教を学ぶ事が当時の大きな喜びでありました。

そこでNHKラジオ宗教の時間では、 松井桃楼先生の『天台小止観』の講義や、松原泰道先生の『法句経』の講義など、毎月一度一年の講座も勉強していました。

そんなご縁から、中学生の頃には、松原泰道先生にめぐりあうことができました。

坂村真民先生のことは、初め松原先生からうかがっていました。

ある時に、松原先生が坂村真民先生の「二度とない人生だから」という詩をもとにして法話をなさっているのを拝聴して感動したものです。

経典や語録ではなく、現代の詩をもとにして仏教を説かれるのをとても斬新に感じたのでした。

お寺に行っては坐禅をして、禅や仏教を学んでいた私にとっては、当時「受験戦争」などと言われていた風潮にはなじめずにいました。

なんとも言えない「生きづらさ」を感じていた頃に、この『生きてゆく力がなくなる時』という題の書物に出会ったのでした。

この本の題名に触れただけで、生きてゆく力がなくなるというのは自分だけではないのだ、このような本を書かれる方でもそういう時があるのだと思うだけで大きな力をいただいたのでした。

そして、一読して深く感銘を受けました。

その頃は本の奥付には著者の住所が書かれていた時代でしたので、愛媛県砥部町にお住まいの先生に手紙を差し上げました。

これが、坂村真民先生とのご縁の始まりでした。
 
すぐさま返信をいただき、「念ずれば花ひらく」の色紙と『一遍上人語録 捨て果てて』を送っていただいたのでした。

そしてそれ以来毎月『詩国』を送っていただくようになりました。

それから大学を卒業するまで六年間毎月『詩国』を送ってもらい、手紙のやりとりをさせていただいていました。

当時の真民先生は『詩国』の発送も千部を超えており、新しく送るのは断っていたころだと、後になって知りました。

その後大学を卒業してすぐに修行道場に出かけた私は、真民先生にその旨を手紙でお伝えし、しばらくご縁が途切れました。

それから十二年間の修行を経て、円覚寺僧堂師家という修行僧の指導をする役目に就き、同時に円覚寺内にある黄梅院の住職にもなりました。

その時に、今まで『詩国』を送っていただいたご縁もあるし、禅について深く学ばれた真民先生にも手紙を書こうかと思いながらも、当時先生はご高齢であり、先生を煩わせては申し訳ないと思って控えました。

その代わりに、長年にわたりお世話になってきたご恩返しにと、住職をすることになった円覚寺の黄梅院の掲示板に毎月真民詩を書くようにしました。

以来二十六年、コツコツ毎月全詩集を繙いては、真民詩を書いてきました。

二〇一九年の三月からは総門の下にも詩を書くようになりました。

月末には全詩集から二つの詩を選ぶようにしているのです。

そうして二十六年間に選んで書いた詩は、なんと三百七十遍にもなるのです。

そんなささやかな行いが、今から五年前の記念館開館八周年の記念特別展となりました。

「鎌倉・円覚寺黄梅院の掲示板の詩~横田南嶺老師と坂村真民の心の交流~」と題した特別展を催してくださったのでした。

令和二年二月二十二日には「ふかきをきわめ あさきにあそぶ 今学ぶ真民詩の世界」と題して講演をさせてもらったのでした。

思い出しますのは、まだ新型コロナ感染症が始まった頃でした。

この講演が最後となって、そのあとの講演、法話はほぼすべてキャンセルまたは延期となっていったのでした。

その後令和五年三月四日には「一遍さん・、真民さんに学ぶ」と題して講演をさせてもらっています。

特別展「一遍さんと真民さん」、開館十一周年の講演でした。

そして今回、坂村真民記念館で「慈悲の心と生きる喜びを~横田南嶺老師が選ぶ真民詩の世界~」という特別展が開催されることとなったのです。

私が書いてきた掲示板の詩について五年前に一度特別展を開いてもらっただけでも感激ですのに今回再びなのです。

今回の展示の中には、当時高校生であった私に坂村真民先生が『一遍上人語録』を送ったという記録が真民先生の『流布帳』に残っていて、それも展示されるのであります。

そんな不思議なご縁が稔って、この三月八日に愛媛県砥部町で「今、真民詩に学ぶ」と題して講演をさせてもらいます。

坂村真民記念館開館十三周年の記念講演であります。

記念館のチラシには、

「南嶺老師の「慈悲の心」で選ばれた「真民詩」は、普段記念館で展示する詩とは一味違った「仏の心で満たされた詩」がほとんどです。

日本人の多くが、 今では経済的な豊かさより、心の豊かさこそ人間にとって大切なものであると考えるようになっています。

南嶺老師の優しく分かりやすい文字で書かれた「真民詩」 は、 私たちの心を潤し、来館者の方々の心を豊かにし、温かく包んでくれることと思います。

どうぞ、多くの方がご来館くださることを、心より願っております。」

と書いてくださっています。

実に有り難いご縁であります。

 
横田南嶺

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