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臨済宗大本山 円覚寺

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2024.10.27
今日の言葉

結跏趺坐のよさ

先日はアメリカのナッシュビルという市からご一行が円覚寺を訪ねてくださいました。

鎌倉市とパートナーシティというのだそうです。

市長や市議会議員さんたちのご一行でありました。

はじめに私が、下手な英語で歓迎の挨拶をいたしました。

何割くらいご理解いただけたのか分かりませんが、歓迎の意を表し、円覚寺は一二八二年の建立であること、その前年に元寇があって、大勢の方が亡くなったこと、仏陀の精神に則って、敵味方の区別をせずに平等に供養したことを簡単な英語で話しました。

それから一八九三年に釈宗演老師が、シカゴの万国宗教会議で演説されて、それが機縁となって鈴木大拙氏が渡米し、ひろく欧米に禅仏教が知られるようになったことなどを英語で紹介しました。

そのあとは、いつも円覚寺に出入りしておられるベンジャミンさんに通訳をしてもらいました。

禅の教えというのは、どのようなものなのかを話しました。

それから少し質疑応答の時間を設けました。

いろんなことに興味があるようで、ある方からは、首にかけているのは何ですかと問われました。

われわれ禅宗では絡子という小さな袈裟を首からかけています。

これは仏陀の教えの象徴ですと伝えました。

もともとは、人が捨てた布を縫い合わせて袈裟にしていたのでした。

その精神を受け継いで、小さな布きれを縫い合わせて作っています。

もともとは体をすっぽり覆うような大きさだったのですが、こうして小さくして、仏陀の精神を受け継いでいるようにしていますと申し上げました。

法衣として身にまとっているのは、中国の礼服がもとになっています。

その下に日本の着物を着ています。

そうしてインド、中国、日本と三つの衣装を重ねて着ているのですと申し上げました。

そして三十分ほどのイス坐禅をしました。

仙骨と丹田、頭頂を教えて短い時間ですが、坐禅の姿勢を説明して坐りました。

一時間ほどの交流でありました。

そのあと、ご一行は鎌倉市役所を訪ねることになっていました。

その日の午後、私は井上欣也さんに体の使い方を習っていました。

井上さんとのご縁も昨年の夏以来一年以上が経ちます。

毎月一度個人で教わっています。

井上さんは、甲野善紀先生のお弟子でいらっしゃいます。

初めて井上さんのことを知ったのは、甲野先生のお話からでした。

あの甲野先生が、とても褒めておられたので、興味をもったのでした。

それからずっと毎月一度教わっているのです。

井上さんは私よりも二十歳以上お若いのですが、さすが甲野先生が褒められるだけのことはあるのです。

ヨガも習っておられて身体のことについてはとても精しいのです。

今回は、足を引き上げるということを教わっていました。

足踏みすると、私たちは、「足踏み」という言葉から、足で踏むことを強く意識します。

しかし、足を引き上げているから踏むことも出来るのです。

足を引き上げるのです。

この感覚を文字で伝えるのは難しいのです。

私もはじめはハテナという感じでした。

井上さんに私の片方の足を地面から持ち上がらないようにしっかり持ってもらって、その足を持ち上げようとすると、だんだん足を引き上げる感覚がつかめてきました。

足踏みをすると、骨盤が右左に傾いて動くのですが、その動きをやめて水平にしたままで少し足を引き上げるようにします。

だんだん足をあげるのを小さくしていくと、この足を引き上げるのが分かってきました。

すると骨盤底筋あたりがしっかりとしてくるのを感じます。

下腹の方がとてもしっかりと充実して安定してきます。

下腹部を充実させるのは、今までもずっと鍛錬してきたつもりですが、また新たな充実感が生まれました。

そうして歩くと足が実に軽く、それでいて安定して歩けるのです。

足から腰、そして腰から背中までつながって歩くことができます。

階段などもすいすいと上がってゆけるのです。

これはとてもよいことを習ったと思いました。

足取りが軽く、そして安定するというのは初めての感覚です。

その日の晩の坐禅の時間になって、立っている時や歩いている時の感覚はわかったけれども、足を組んだらどうなるのかと思って試みてみました。

結跏趺坐を組んで坐ると足を上げたり下ろしたりすることはできません。

しかし、足を引き上げるように骨盤底筋をしめることはできますので、やっていました。

すると今まで以上に下腹部が引き締まり、丹田に力が集まるような感覚がしたのです。

とくに結跏趺坐はそれぞれの足の付け根を足首でおさえられていますので、そうして引き上げをするとより一層引き締まり、充実感がするのでした。

足を押さられた状態で持ち上げようとする感覚に似ているのです。

これは他の座法では味わえないことだと思いました。

もう五十年こうして坐禅してきてまた新たな世界が広がった感じなのであります。

結跏趺坐の良さというのは長年やってきて、身にしみていると思っていましたが、より一層鮮明になったのでした。

ただ結跏趺坐をするには、やはりある程度の訓練と慣れが必要です。

股関節が外旋しないで足を組もうとすると膝を痛めることがあります。

また苦痛にばかり気が取られることもあります。

そこでイス坐禅を併用するのはいいのですが、やはり結跏趺坐の良さというのはイス坐禅では味わえないものがあるのです。

専門の修行僧には、時間をかけて股関節をほぐして結跏趺坐が組めるように指導しています。

私などは十代の頃から結跏趺坐で坐ってきて、修行僧の頃には三時間でも四時間でも結跏趺坐で坐れたものです。

今でも手を使わずに結跏趺坐ができますし、逆立ちしても結跏趺坐ができます。

それほど慣れ親しんでその良さを実感していたつもりでも更に深く結跏趺坐の良さを味わうことができたのでした。

これはまた大きな大きな感動でした。

お若い井上欣也さんに教わるのも楽しく、そして更に自分の坐禅が更に深まるのが楽しいのであります。

この道に終わり無しということをしみじみ感じるのであります。

教わることはやはり有り難いものです。

 
横田南嶺

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