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臨済宗大本山 円覚寺

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2024.01.26
今日の言葉

都会の中の森

都会の中の森というと、なんといっても明治神宮を思います。

摂心の前に上京した折に、明治神宮に参拝させてもらいました。

いつもながら、あの空間は素晴らしいと感じます。

歴史的には、明治天皇と昭憲皇太后を祭神としてお祀りして、境内(内苑)は約二二万坪もあり、一九一五年に起工して、一九二〇年に竣成したものです。

二〇二〇年が鎮座百年でありました。

あの素晴らしい森は、人工的に作られたものだそうです。

人々が静かに祈りを捧げる「永遠の杜」をつくるために第一線の学者たちが集められて計画がたてられ、全国から約10万本が奉納されたそうですなのです。

当初、在来木等を含め365種約12万本だった内苑の樹木は、第二次境内総合調査によると、234種約3万6千本となっているのだということです。

これらの資料は明治神宮のホームページから調べたものです。

都会の中の森を感じたのは、先日の都内でのイス坐禅の会でありました。

今回で八回目となるイス坐禅の会でありました。

東京駅近くの会議室を借りて、三十名ほどで行っています。

八回目となりますが、ほとんどの方がリピーターでいらっしゃいます。

みんな慣れてきてくださっています。

いろいろ今まで私が学んできたことを、皆様に還元しようと思って始めた坐禅会であります。

今年は、裏千家の初釜でも濃茶席、薄茶席もイス席となっていたことも思うと、イスでの坐禅はますます必要だと感じています。

私の行っているイス坐禅は、まず身体を調えるために、四十分から五十分ほどかけて身体をほぐしてゆきます。

毎回、あれこれとプログラムの構成を考えています。

どうしたら心地よく坐れるか、どうしたら身体が喜ぶ坐禅になるのかを工夫しています。

毎回使っているのが紙風船です。

これは藤田一照さんに教わったものです。

その後昨年の『文藝春秋』に室伏広治さんが書かれていました。

その『文藝春秋』二〇二三年九月号にある室伏さんの記事には、

「まず、胸の前で両掌を合わせ、両腕で押し合ってみて下さい。

胸や腕の筋肉が使われていることが分ると思います。

次に、両掌の間に紙風船を挟み、潰さないように注意しながら同じように力を加えます。

今度は、肩甲骨の周囲の筋肉が使われている感覚があると思います。

紙風船を「潰さない」という動作が加わることで、両腕を押し合う際に働く主動筋と、拮抗する背面の筋肉が使われ、「体幹筋」全体を満遍なく鍛えることができるのです。」

と書かれています。

紙風船を潰さないように力を加えることで体幹が調うであります。

そのためにまず紙風船を膨らませることから始めています。

口で空気を吹き込むのではなくて、ポンポンと天上に向かって打っていくと自然と膨らんでゆきます。

この無心に子どもが鞠をつくようにしていると、それだけで身も心もほぐれてきます。

平日の夕方に行っていますので、仕事帰りの方も多いのです。

スーツを着て緊張したまま坐っても、身体がこわばったままで、心地よくは坐れないと思います。

それからこの紙風船を使って体幹を調えます。

横から押されてもびくともしないような安定感が得られるのです。

手首をゆるめる運動も行ってみました。

手首もパソコンなどで手を酷使している方が多いと思うので、手首を入念にほぐしてゆきました。

それからゴルフボールを使って、足の裏を刺激してもらいます。

皆さん靴を脱いで素足になってもらって、足の裏を刺激します。

拇指球、小指球とそれから踵の三点をゴルフボールで刺激します。

足の裏の感覚をよみがえらせるのであります。

そうしてこそ、足で床を踏む感覚ができてきます。

それから今度は新しい試みを行ってみました。

紙風船は毎回行っていたのですが、紙風船の代わりに、薄い紙一枚を挟んで行うものです。

これは昨年末に井上欣也さんに教わったことから考案したものです。

井上欣也さんは、身体探究者、松聲館技法研究員であり、甲野善紀先生に習われた方でいらっしゃいます。

甲野先生が井上さんのことをとても褒めていらっしゃったので一度習ってみようと思って、昨年から教わっています。

昨年の末にこの井上さんから、「オブラート1枚を挟む感覚」を教わったのでした。

これが私自身、自分の身体の感覚が劇的に変わるという体験をしたのでした。

昨年末の大きな発見でありました。

そこから着想を得て、両手を合わせてその間に、イス坐禅のアンケート用紙一枚を挟んで、この紙に皺を寄せないように、そして落とさないように、そっと手を合わせているのです。

この感覚でいると、紙風船を持った時と同じように体幹が調って押されてもびくともしない身体になっているのです。

今回もホトカミの吉田亮さんが参加して下さっていましたので、実験台になってもらいました。

この紙一枚を使って身体が繋がるという感覚で、両手を合わせて、法界定印へとなるように新たに工夫した方法を用いてみました。

これは後で、聞くととても効果的だったようです。

長年坐禅されている方にも初めての感覚だったようでありました。

それから耳を調え、頭を調える為の動きを行って、腰が立つ状態を作り上げて、呼吸の為の運動を行ってから坐りました。

まず私自身が、実に心地よく坐れました。

もう背もたれに依りかかることなど言われても出来ない感覚になります。

そうして坐っていますと、一人ひとりが、背筋が自然に伸びて一本の木になったようになり、会議室の中が森になったように感じられたのでした。

深い静寂でありました。

ほんのひとときですが、一日の身体の疲れもすっかり落ちてしまうように感じました。

森の中に、自分自身が溶け込んでいくような思いでありました。

参加者の皆さんからも有り難い感想をいただきました。

毎回新たに工夫しますので、こちらも勉強になります。

そして行う度に坐禅が深まるのを実感します。

そのあと少し禅の話をして、更にイス坐禅を皆で行ったのでありました。

質疑応答もあって、充実したイス坐禅の会となりました。

今年も毎月続けてゆこうと思います。

 
横田南嶺

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