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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.09.15
今日の言葉

一生続けられるものが真理

先日、呼吸法アドバイザーの椎名由紀先生にお越しいただいて、ご指導を頂きました。

その講習の終わりに、先生が仰った言葉が特に心に残りました。

それが、「一生続けられるものが真理」という言葉です。

長々と話をするよりも、一言で真理を言い尽くすことがあります。

禅語などというのは、そういうものです。

日々是れ好日という一言で、すべてを言い尽くしています。

また無事是れ貴人という一言もすべてを言い尽くしています。

椎名先生の「一生続けられるものが真理」という言葉もそうだと思いました。

講習の終わった後にも、この言葉について語り合いました。

西洋のスポーツなどは、どうしても体力が勝負であるという一面が強いので、若くて気力体力の充実した頃が強くて、ある程度の年齢を過ぎると衰えが来るものです。

それはやむを得ないことでもありましょう。

ところが、たとえば合気道の創始者である植芝盛平翁などは、晩年になってもいよいよ技が冴え渡っていたと言われます。

動画などを拝見しても、八十を超えても見事な技を披露されています。

また能や狂言でも同じようなところがあります。

若い頃の芸も素晴らしいものでしょうが、年老いてもなお見事な芸を披露されています。

数年前に野村万作さんの能を拝見して、その動き、その声に感動したことがありました。

当時すでに八十半ばだったと思いました。

八十を超えていてもかなりの高さを飛び上がっていたのでした。

能の舞なども年と共に深まるものだと思いました。

日本の芸能などは、年齢と共に深まるものが多くあります。

坐禅の道も年と共に深まるものでありたいと願います。

それにはどうしたら良いのかを日々今も工夫し続けています。

長い時間足を組んで坐るというようなことは、年齢と共に難しくなるかもしれませんが、呼吸だけは、死の瞬間まで続きます。

呼吸の修行だけは、死ぬ迄続けることができるものであります。

白隠禅師は、一生涯ご活躍されて八十四歳でお亡くなりになっていますが、『夜船閑話』に書かれているように呼吸を大切にされて長生きをされました。

椎名先生の講座の日には、春秋社の編集者の方もお見えになって一緒に呼吸法を学びました。

椎名先生との共著も春秋社から出版する予定で、かなり進行しているところであります。

椎名先生の講座もこの四月から始まってこれで5回目になりました。

八月はお休みしたので、二ヶ月ぶりとなり、今回は今までの復習をしてもらいました。

皆かなり姿勢がよくなったと先生に褒めてもらいました。

私もかなり姿勢が改善されたつもりでいましたが、まだやはりほんの少々肋骨の位置を矯正してもらいました。

まっすぐになっているつもりでも自分では分からないものであります。

二ヶ月ぶりにお目にかかる椎名先生は健康そのもの、いや益々お元気になられているようにお見受けします。

健康は青天井で、益々健康になるとご自身で仰せになっている通りであります。

春秋社から出版予定の本は、白隠禅師の健康法について、おもに呼吸についのも本であります。

こんな本を出すからには、お互いに長生きしないといけませんと話をしました。

椎名先生はまず元気で長生きでしょうから、私が十分に気をつけるべきであります。

そんなことを思っていると、いろんな方から送っていただく冊子の中に面白い記事を見つけました。

コオロギの話であります。

生活環境がコオロギにどんな影響を与えるのかという実験が書かれていました。

餌の種類や水の与え方によって、生活レベルを「ずっと贅沢」から「ずっと貧乏」まで五段階に分けて育てたそうです。

すると「ほとんど貧乏ときどき贅沢」という育てかたをしたコオロギが一番たくましく育ったという話でした。

普段は粗食で量も少ないけれども、たまに好物の餌をもらうのが一番強くなったそうです。

ずっと貧乏でも駄目で、ずっと贅沢だともっと駄目だったというのです。

楽で便利な生活をしていると飛ばないコオロギになってしまうということも書かれていました。

コオロギは、餌や雌を求めて千キロでも飛べるものだそうです。

それが、楽で便利に暮らすと飛べなくなるというのですから驚きであります。

コオロギと人間とを同じにしていいのかどうかはわかりませんが、考えさせられる話だと思いました。

ルソーが『エミール』という書物の中で、「子供を駄目にさせる一番の方法は、いつでも何でも手に入れられるようにしてやることだ」と書いているそうなのです。

こんな話を読むと、私などの暮らしはけっこうよいのかと思いました。

修行道場で暮らしていますので、ほとんど貧しい食事をしていて、たまに外でご馳走を頂くことがあるのであります。

このたまに頂くのがいいのだと思いました。

「ほとんど貧乏ときどき贅沢」くらいの暮らしで衰えず長生きして坐禅を探求してゆきたいと思ったのでした。

白隠禅師は、コオロギの声を聞いて大きな悟りを開いたと言われていますが、こちらはコオロギのはなしを読んで、長生きについて考えている有様で、天地の隔たりを思います。

それにしても、一生続けられるものが真理という言葉のとおりに一生坐禅を探求し、呼吸を実践したゆきたいものであります。

 
横田南嶺

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