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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.06.19
今日の言葉

覚悟

覚悟という言葉について深く考えさせられました。

覚悟を『広辞苑』で調べてみると、

一番に仏教語として「迷いを去り、道理をさとること」と書かれています。

それから二番目に「知ること」です。

三番目が「記憶すること。暗誦すること」であります。

そして四番目に「心に待ち設けること。心がまえ。」とあります。

最後の五番目に「あきらめること。観念すること」とあるのです。

私が今回深く考えた覚悟は四番目の心に待ち設けること、心がまえの意味であります。

花園大学創立百五十周年記念式典の講演で、ソフトバンク社長の宮川潤一さんと対談をさせていただきました。

宮川さんは、昭和四十年生まれですので、私より一歳年下であります。

ほぼ同年代といっていいでしょう。

宮川さんは実は臨済宗妙心寺派のお寺のお生まれで、花園大学で仏教や禅を学びながらも、お寺の住職にはならずに起業されて、ソフトバンクの孫正義社長と意気投合してソフトバンクに入り今日に到るのであります。

私のように寺の生まれではないのに、寺に入って今日に到るのとでは好対照であります。

その宮川さんと対談して心に深く刻まれたのが「覚悟」の二文字でありました。

宮川さんとは、三年程前にもPHP研究所の企画で対談したことがありました。

そのときはまだソフトバンクの副社長でいらっしゃいましたが、実に爽やかで明るく、そして謙虚な方だという印象を受けました。

現代の最先端をゆく大企業の副社長ですから、近寄りがたいイメージがあったのですが、全く異なるものでありました。

その時の印象がよかったものですから、今回も気軽に対談の企画に応じたのでした。

しかしながら、今回は大学創立百五十周年の記念企画であります。

しかも公開の対談です。

参加されている方は臨済宗妙心寺派のお歴々、各専門道場の老師さま、各派の宗務総長、他の大学から招待された方々、それに報道陣の居並ぶ中での対談でありますので、私も緊張したものです。

しかもほとんど打ち合わせの時間がとれませんでした。

お忙しい宮川さんとの対談でありますので、こちらとしては対談にお越しくださるだけでも有り難いことで、あらかじめの打ち合わせの時間がとれませんでした。

控え室でほんの五,六分ほど話をしてそれで本番となりました。

私は大学の総長という立場で、宮川さんをお迎えしている方ですので、こちらが聞き手になっていろいろお話をうかがいました。

いくら対談といってもある程度の方向性をもって、大学百五十周年にふさわしいような結論へと導かないといけませんので、かなりハラハラドキドキしながら対談していました。

大学の記念行事ですので、まずは宮川さんの大学時代のことからうかがいました。
宮川さんのお寺は檀家が少なく、裕福ではなかったらしく、しかも弟さんの分の学費も工面しなければならなかったようで、アルバイトをいろいろなさっていたとのことでした。

大学の授業で印象に残っているのは何ですかと問うと、坐禅の時間だったと答えてくれました。

花園大学には大きな坐禅堂があります。

そこで坐禅をした時間が一番よかったと仰っていました。

そして警策という棒で叩かれるのもよかったというのです。

坐禅が自分にとって救いになったと仰っていました。

このあたりの話は、三年前の対談でもうかがって、よく大学の授業の折にも学生さんたちにも伝えていることであります。

三年ぶりにお目にかかって、三年前と大きく異なるのは、今回はソフトバンク社長になられたということです。

まだ昨年のことであります。

その社長就任についてうかがいました。

はじめは断っていたそうなのです。

それでも決意なされました。

そして社長になった宮川さんは、なんと個人として会社から借り入れた資金で自社株を二百億円も市場から購入なされたのでした。

二百億という数字は私などの想像をはるかに超えています。

宮川さんは、はじめは二十億でと考えたそうなのです。

ご自身の貯蓄などから考えると、二十億なら最悪でもどうにかすることができると思われました。

しかし、どうにかなるという程度ではだめだと思って、十倍の二百億にしたのだというのです。

当然リスクがあります。

どうしてそんなリスクを負ってまでそのようなことをなされたのですかとうかがうと、ひとこと宮川さんは「覚悟です」と仰ったのでした。

昨年ソフトバンクのお若い方が、宮川社長のこの自社株二百億の購入に身震いするような感動をしたと言っていたことを思い出しました。

社長は真剣だ、いのちをかけていると思ったというのです。

ひとつの行動で、ソフトバンク五万人の従業員の心を一つにしたのでした。

この会社と自分はひとつなのだと宮川さんは仰いました。

会社が駄目になれば自分の終わりということでしょう。

それだけの覚悟をもって社長に就任したというのであります。

この捨て身の覚悟、なんとかしてやるという覚悟であります。

そして宮川さんと話をしていて一番感銘を受けたのは、将來を決して悲観していないことです。

むしろ楽天的なのです。

ただあてもなく楽天的だけなら駄目でしょうが、緻密な計算のうえでの将來に希望を持っているのでした。

そして禅には大きな魅力があり、これからの社会にも一層求められるものだと仰ってくださいました。

宮川さんにそう仰っていただくと、私なども大きな力をいただいたのでした。

三年前と変わらず明るく爽やかで謙虚な宮川さんでありました。

 
横田南嶺

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