【日曜説教ライブ配信:10月10日】開山仏光国師を想う
円覚寺の開山は、無学祖元禅師であります。西暦一二二六年のお生まれで、一二八六年にお亡くなりになっています。
今から約八百年ほど前に、中国にお生まれになりました。
一二七九年、五十四歳の時に日本にお越しになっています。
その二年後には、第二回目の元寇、弘安の役がございました。
無学祖元禅師は、時の執権北条時宗公の招きによって、来朝して、鎌倉の建長寺に住して、時宗公を禅の教えによって指導されていました。
今のように情報が十分に伝わらない時代でありますので、異国が日本に攻めてくるというのは、大きな不安であったろうと察します。
そんな中、時宗公を精神的に支えられたのが無学祖元禅師でありました。
弘安の役の翌年に円覚寺が開創されました。
無学祖元禅師は、円覚寺の開山となられました。
その時に、時宗公は千体の地蔵を造って元寇で亡くなった方の御霊を供養しようとされました。
無学祖元禅師は、その時に敵も味方も区別せずに同じように供養されたのでした。
敵味方を区別せずに供養する精神を怨親平等と申します。
時宗公は、元寇のあとわずか三年経って三十四歳でお亡くなりになりました。
無学祖元禅師も時宗公がお亡くなりになって二年の後に遷化されています。
無学祖元禅師は、仏光禅師と諡され、更に円満常照国師と追諡されています。
そこで正確には、仏光禅師円満常照国師と申し上げるのですが、円覚寺では、仏光国師とお呼びしています。
ご命日は九月三日でありますが、円覚寺では一か月遅れの十月三日に開山忌をお勤めしてます。
十月は開山忌の月でありますので、今回は、仏光国師のお言葉を紹介しながら、国師の教えを学んでみます。
横田南嶺