お釈迦様が十月の八日に悟りを開かれたことから、お釈迦様のご遺徳をしのぶ法要を勤めます。

例年ですと、十月の八日の午前十時に、仏殿に於いて、円覚寺山内の和尚様方、そして僧堂の雲水たちが一堂に会して、盛大に行われます。

また一般の方も仏殿にお入りいただいて、お勤めしていました。

思えば昨年の十二月八日は、ちょうど日曜説教の日でもありましたので、日曜説教のご参加くださった方々も大勢お参りいただいたのでした。

今から思えば夢のような、密集状態で、お勤めさせていただきました。

大勢の方が、肩寄せ合って、席をギリギリまで詰め合わせてお参りしてくれたのでした。

あれから一年経って、すっかり様子が変わりました。

今年の成道会は、一般の方々の参列はご遠慮いただきました。

僧堂の雲水たちも大勢いますので、仏殿に入ることは遠慮しました。

山内の和尚様のみにて、行われました。

成道会は、本山の法要でありますものの、僧堂で修行している雲水たちにしてみれば、一週間の臘八大摂心を終えて、その最後に営まれる法要で、感慨深いものなのです。

これに出られないのでは、可哀想なので、僧堂の中で、雲水たちだけの成道を勤めました。

こちらは午前八時に行いました。

私はというと、有り難いことに、午前八時の僧堂の成道会と、午前十時の本山の成道会と二つとも出させていただきました。

八日は、未明まで臘八の大摂心を務めていて、そのあと少し仮眠を取って、成道会を二回も務めさせてもらえることは、これまた滅多にないこと、感謝するばかりであります。

横田南嶺