仏の条件は、「明るさ」と「温かさ」
京都にある日本ヨーガ禅道院から機関誌『たいまつ通信』を送っていただきました。
以前『たいまつ通信』の取材を受けたことがあって、そのご縁で送っていただいています。
佐保田鶴治先生のヨーガを継承されている団体であります。
私も講演の依頼を受けたこともあるのですが、日程の都合がつかずに、まだおうかがいできずにいます。
その道院長だった石田祐雄師が亡くなられて、その追悼号となっています。
石田師は、百二歳まで長生きされて、その最後までヨーガのご指導をなさっていたそうであります。
私は、石田師とは面識はないのですが、たいまつ通信に写っておられるお姿から、すぐれた方だと敬意を抱いていました。
その追悼号の巻頭に、堀澤祖門師が載っていました。
堀澤大僧正には、ご縁があって何度もお目にかかっています。円覚寺にお越しいただいたこともございます。
現存する宗教家の中では、私が最も尊敬申し上げる方であります。
ただいま御年九十一歳ですが、お写真を拝見してもお変わりなくお見受けしました。
記事にも、今も毎朝の筋力体操を行っておられるとのことです。私も堀澤師の筋力体操を教わって行っていますが、なかなか一通りを行うのは体力が必要です。
それから仙骨運動も教わりましたが、これも毎日実践されているとのことです。
それらを今も欠かさずに行って坐禅も毎朝続けておられると仰せになっていて恐れ入りました。
更に堀澤師は、毎朝笑いを取り入れておられるのです。
とにかく「ワッハッハ」と大笑いをするのです。
堀澤師は、笑いについて、
「仏の条件は、「明るさ」と「温かさ」で、それが極楽の世界です。
その反対の地獄は暗くて冷たい世界です。
…だから極楽のように明るく朗らかになるためには笑うことが一番いい。
笑えば活性化して体自体も温かくなるんだね。
とにかく朝は早く起きて大笑いすることが大事です」
と説かれていました。
九十歳を超えてもお元気な秘訣は、毎朝の「筋力体操」と「笑い」にあるようであります。
三千院のおうかがいした時にも、朝職員の皆さんが大笑いされる声が聞こえてきたことを覚えています。
禅の修行に、「笑う」というのは無いのですが、これも参考にさせてもらいたいものであります。
横田南嶺