身近にある、さりげない自然に
聖心会シスターの鈴木秀子先生にいただいていた本を読み返しています。
『世界でたったひとりの自分を大切にする』という本です。
鈴木先生とは致知出版社のご縁で、懇意にさせていただいています。
こういう時に鈴木先生の本を拝読するのは心安まるものです。
こんな一節がありました。
「身近にある、さりげない自然に触れるのでも、自分を超える大きな力を感じることができます。
たとえば、道端に咲く名もない雑草。空を赤く染める夕焼け。夜空を照らす満月や星々。
こうした当たり前のように存在する自然も、心を研ぎすませば、美しさや輝きが見えてきます。人間を超える大きな力が感じられます。」
これはいつもその通りだと思っているところです。
新型コロナウィルスについての報道が多い時です。
もちろんのこと、正しい情報を得て、慎重な対応をしていくことが大切なことはいうまでもありません。
しかし、コロナウィルスのことばかりで頭がいっぱいになってしまうのも考えものです。
正しい情報、知識を得て、日常に於いての対策も取ったならば、ときには、コロナウィルスのことからも離れる時間を持ちたいものであります。
今はあまり出掛けられないのですが、それでも窓から空を仰ぐことはできるでしょう。
窓を開けて風を感じることもできるでしょう。
道の辺の草花に目をとめることができれば良いのですが……
それらもかなわないとしたら、一番身近に常にある自然は、お互いのこの体なのです。
自然に呼吸していることを静かに見つめてみましょう。
この一呼吸にも大自然を感じることができるのです。
鈴木先生は更に、
「素晴らしさを認め、その美しさを賛美する。それが、自然を超える大きな力とつながること」
であると仰せであり、そしてそれはシスターである鈴木先生にとっては、
「神様に祈るということ」
と同じなのです。
私たちでいえば、「仏心」を感じることであります。
そして
「自然の素晴らしさを感じると、歓びが涌き上がります。歓びが涌き上がって、幸せを感じます。
これは、自然が生きる力を分け与えてくれているということです。大きな力に支えてもらっているということです。
そのことに感謝するのです。自然を賛美し、感謝する。それが自分を超える大きな力とつながる、あまねく人々に与えられた方法なのです。」
と説いてくださっています。
窓を開けて空を仰ぐ、吹いてくる風を感じる、あるいは静かに坐って、自分の体という自然が行っている一呼吸を感じてみます。
どんな状況下でも、大きな力にささえてもらっている歓びや幸せを感じることができるはずです。
横田南嶺