鎌倉宗教者会議
三月十一日、鶴ヶ岡八幡宮で、鎌倉宗教者会議による東日本大震災追悼・復興祈願祭が催されました。
思えば震災から一ヶ月後の平成二十三年の四月十一日に、
鶴ヶ岡八幡宮に鎌倉市内の神職、僧侶、キリスト教神父牧師の方々が集まって祈りをささげたのでした。
鶴ヶ岡八幡宮の吉田茂穂宮司の、
「真実のいのりは、国境を越え、宗派を超えて共鳴し合いひとつになる」
という理念のもとに、鎌倉中の宗教者が一堂に会したのでした。
それ以来、平成二十四年には建長寺で、二十五年には雪の下にあるカトリック教会で、
二十六年には八幡宮で、二十七年には円覚寺で、二十八年にはカトリック教会で、
二十九年には八幡宮で、三十年には大仏様で、三十一年にはカトリック教会でと、
神道、仏教、キリスト教と持ち回りで行ってきました。
今年は十回目となり、八幡宮で行われました。
吉田宮司が自ら祝詞を奏上されました。吉田宮司の祝詞はいかにも神々しく有り難いものであります。
仏教の法要は、近年光明寺の柴田哲彦法主が導師で行われてきましたが、今回はご欠席の為、私が久しぶりに導師を勤めました。
禅宗式に、七言絶句の偈を唱えて、観音経を読誦しました。
偈は、
大震災過ぎて、既に九春
往時を追尋すれば、涙痕新たなり
諸宗教者、共に祈禱す、
四海浪平らかに、妄塵を絶せんことを
というものです。
八幡宮には、例年よりは遥かに少ないのでしょうが、思っていた以上に参拝の人がいらっしゃいました。
今回は、コロナウィルスの件によって、一般の方々には参列を呼びかけなかったのですが、
参拝に見えた方々が手を合わせ焼香してくださっていました。
偈の「妄塵を絶せんことを」の一句は、コロナウィルスが収束するように との願いもこめたものであります。
横田南嶺