八大人覚
お釈迦さまがお亡くなりになるにあたって、説かれた教えに八大人覚というのがあります。
八つの大人の自覚です。
八つ御座いまして、
その第一は「少欲」です。
欲を少なくしなさい。欲を無くせよとは説いていません。
お釈迦様は欲の多い人は、求めることも多く苦悩も大きい。欲を少なくすれば、その分こころの安らぎが得られると説かれます。
第二番目が「知足」です。
足ることを知るです。これで十分ですと知るこころです。
このこころが無いといつまでも欲望に引きづりまわされて、結局哀れなことになってしまいます。
第三番目が「寂静」、静けさです。
これは現代でも実に考えなければなりません。
情報が多すぎてはいけません。情報過多と言われる時代です。時には情報から離れて静かに自己を見つめましょうという教えです。
携帯電話やパソコンなどを使いこなせる事だけでなく、それから離れる事も出来る人でなければなりません。
第四番目が「精進」です。
これはお釈迦様の教えの一番の特色と言ってもいいでしょう。精進つとめ励むことです。
第五番目が「不忘念」です。
正しい教えを心に念じて決して忘れない。
いつも念じ続けることです。欲望の誘惑に負けてしまうのは、この念じる心が弱いからだと説かれます。
第六番目が「禅定」です。
これは坐禅して心を静めることです。
第七番目が「智慧」です。
悪知恵では何もなりません。正しい智慧こそは、苦悩の海を渡る船であり、暗黒の世の灯火であります。
八番目が「不戯論」です。
無益な議論はしないことです。
これも大人としては大事です。
無益な議論をするよりももっと今なすべきことがあるのではないか、今なすべき事を今取り組むことこそが大事だとお説きになりました。
(二月九日日曜説教より)
横田南嶺