今日の言葉
障子一枚のあたたかさ
僧堂では、冬であっても、朝のお経をあげるときも、禅堂で坐禅するときも、すべての障子を開けて吹きさらしの中で行っています。
ですから、当然冬は寒いものです。
しかしながら、一月いっぱいで雪安居の修行を終えて、二月になると「制間」といい、すこしばかり修行が緩やかになります。
二月からは、障子を閉めてお経をあげ、坐禅をするのです。
たった障子一枚を閉めるだけで、随分と暖かく感じます。
「障子一枚の暖かさ」をしみじみと感じるのです。
そんな暮らしをしていて、二月八日に大阪の人間学塾中之島で講演にゆくと、大阪大学の施設の中に会場がありましたので、空調がよくきいていて随分と暖かく、九十分立ったまま講演すると、流れるような汗をかきました。
朝は寒い中でおつとめをして、新幹線に乗って、汗を流して講演をして、また寺に帰ってと、
「寒熱の地獄に通う茶柄杓も
心無ければ苦しみもなし」
というわけにはゆかぬ生身の体なのでありました。
横田南嶺