対談
この一月の間に、対談が続きました。
作家の五木寛之先生、大峰回峰行の塩沼亮潤阿闍梨、
ミライロの岸田ひろ実様、そしてソフトバンクの副社長の宮川潤一様。
それぞれの分野で活躍されている方々と、それぞれ出版社のご縁で対談をさせていただきました。
単行本になるもの、誌上に掲載されるもの、ウェブに載るもの様々ですが、良きご縁に恵まれてたくさんの学びをいただきました。
良き人とのめぐりあいは、一番の幸せであります。
二十九日は、今年の対談の最後となり、ソフトバンク副社長の宮川様とでした。
宮川様は、私より一歳下、もとは臨済宗のお寺のお生まれで、花園大学の仏教学科のご卒業であります。
それが、伝統の世界から出て、二十代で起業され、ソフトバンクの孫正義氏と出会って、ソフトバンクに入って、副社長にまでなられた方であります。
時代の最先端を行かれる方と、伝統の世界しか知らない私とで、どんな対談になるかハラハラしていましたが、お目にかかってみると実に謙虚で、爽やかな方でいらして、話が弾んであっという間に時間が過ぎてしまっていました。
今年最後の対談が、素晴らしいものとなりましたので、なんともうれしい思いです。
最先端の世界に生きておられながら、生まれ育ったお寺や、卒業された花園大学のことも大切に思ってくださっていて有り難く思いました。
私もただいま花園大学の総長を務めていますので、大学四年間で学んだ中で、一番印象に残っているのは何ですかとうかがうと、
即座に「それは坐禅の時間です」と答えてくださいました。
あの時間が一番心地よく自分のためになったと仰ってくださいました。
なるほど、ベラベラおしゃべりするよりも、やっぱり禅は黙って坐るのが一番だと再認識した次第です。
そうこうしているうちに、明日十二月一日から臘八大摂心、
一週間の坐禅行であります。
横田南嶺