この頃、いろんな方から、お忙しいでしょうと言われます。

忙しいように見られているとしたら、まだ修行が足りないと反省しなければなりません。

他の方が、どの程度忙しいのかは分からないので、果たして自分が忙しいのかどうか、自覚はありません。

いただいたお仕事をただ有り難く勤めるばかりです。

そんな中でも、毎月いくつもの習い事をしています。学ぶ事は楽しいものです。

そのひとつが、中国語。

毎月湯島の麟祥院で駒澤大学の小川隆先生の臨済録の講義を拝聴しています。

そこでは、毎回小川先生が、実に流暢な中国語で、臨済録を読んでくださるのです。

いつも感動しながら拝聴していて、中国語が少しでもできたらいいのになと思ったのと、五十半ばになって、記憶力低下の防止にと思って習い始めました。

習ってみると、いかに自分の記憶力が落ちてしまっているか、毎回愕然とします。

かつては、記憶力には自信のある方だったのですが、今や無残なありさまです。

ついさっき習ったはずなのに、もう出てこないのです。

中国人留学生の先生から、練習問題を出されると、必死になって習った所を思い出そうとしているのですが、いつも先生からの一言「不対（ぶどい）」という否定にあってしまいます。

それでも、こんな自分自身の現状を見つめ、謙虚に反省するいい機会だと思って、習い続けています。

古の禅僧が、晩年英語を習い始めて、今更何をと言われて、

今度生まれて来る時にすこしは役立つだろうと言われたとか。

気長に学ぶつもりであります。

横田南嶺