管長 ジャポニズム2018@パリ③ 「フランス人との問答」
円覚寺派管長・横田南嶺老師のパリからのコメントです。
「坐禅会のあと
質疑応答の時間を設けました。
とある女性からの質問。
今日教わった坐禅や数息観を
日常においてどのように活用して
取り入れたらいいですか。
坐禅をするのに一番いいのは
朝起きてすぐの時間と
夜の寝る前でしょう。
朝起きて、ベッドの上で
五分でもいいから静かにすわってみることです。
夜も同じくベッドの上でいいから静かに坐るという
習慣をつけることが大事です。
数息(呼吸を数えること)は
簡単なようで、大きな効果があります。
一番いいのは、感情的になってしまった時でしょう。
腹を立てて怒りの感情にまかせて
言葉を発したり、行動を起こすと
よい結果にはなりません。
感情的になっている時ほど
少し落ちついて自分の呼吸を十くらい数えてみることです。
それだけでも感情はおさまってきます。
また別の女性からの質問
坐っていても次から次へと思いが湧いて
あふれてくるのです。どうしたらよいのでしょう。
先ず、思いが湧いてくるのは自然なことだと
思う事です。
思いや雑念が湧いて、自分の坐禅がうまくいっていないなどと
自分を責める必要はありません。
そうですね、たとえば橋の上から川の流れをただ
見ているように、静かに自分の思いを見ていることがいいでしょう。
決して思いの中に入っていったり
追いかけたりしないで、ただ見ているのです。
すると、どんな思いであっても
必ず湧いては消えるものなのです。
少し離れて見ていることがいいと思います。
思いの波にのみ込まれないように
思いをそれ以上に増幅させないようにすることが
できます。
(坐禅会の会場である日仏会館にゆく途中
セーヌ川の畔を歩いていったので
川の流れを思いついたのと
フランスではマインドフルネスが流行していると
聞いていましたので、あえてマインドフルネス的な
答えを致しました。思いを断ち切る方法は
いろいろありますが、一番穏やかでそして確かな方法であります。」