「頭の人、胸の人、腹の人」 一日一語101
<洪鐘参道>
横田南嶺老師が今日の大攝心で提唱されたことをまとめてみました。
岡田虎二郎という方は、「頭の人、胸の人、腹の人」ということを言われています。
頭の人というのは、これは、頭でいろいろとものごとを考える、学校で良い成績を
おさめる、いろいろと頭の中に知識を詰めてきた人のことです。
「胸の人」の胸と言うのは、これは感情を表すのでありましょう。
この岡田先生の「頭の人、胸の人、腹の人」という言葉を思い出したのは、
昨日、東京電力会長を務めている数土さんというお方のお話を聞きながら
勉強会をしておりました時です。
数土さんは、東京電力といいましても、あの原発事故があった後に
安部首相から東電の再建と原発の収束をはかる為に会長に任命された方で
経営の世界では、たいへんな人らしいのであります。
いろいろな話を聞いていて、経営の話であるから、私には、そう関わり
がないと思っていたのですが、聞いているうちに、なるほど、経営においても
今日、欠けているものは、腹の力であると数土さんは、言われました。
数土さんが言われるには、それは、確かに一流の大学を出てたくさんの知識があり、
会社を経営したりして、そして、この頃の人は、非常に情にも厚い。
人に親切である。人当たりも穏やかであり、人に嫌われないように心配りもできる。
しかし、欠けているのは、腹の力である。これがなければ、困難な局面、
難局を乗り越えていくことはできないと。この今日の教育において腹の力というものが
全く培われていない。そうであるから、いざ、大きなことに遭遇した時に
頭だけでは駄目であり、感情だけでも駄目、正しい判断ができない。
果断なる決断、これは、私たち禅宗的、仏教的に申し上げるならば
真智、真実の智慧というべきもので、「こうあるべきだ!」と正しい判断
「こうなすべきだ!」という正しい智慧であります。
岡田先生は「腹の人になれ」と仰せになっています。現実の少々のことでは
動じることがない。少々の批判をされてもなすべき判断をすることができる。
これが肝腎なことであります。