一日一語 ㊵
本当の仏とはいったい何か?私たちの本心とはいかなるものか?
それは、この虚空のごとく、つまり、この空中・空間のようなものです。
今、目の前にいっぱいあるのも虚空です。
この虚空は元来、色も形もない。そしてこの空間は、果てがない。
ずっと、どこまでも続いて辺際(へんさい)なしであります。
お釈迦様の教えにおいては、この虚空はどこかで終わりがあるという
こともなく、どこかに際(きわ)があるということもない。ずっと、
広がっていて、元来、姿も形も色もない。
私たちが見えているものは、光の波長が眼の網膜に映って、それを色として
認識しているに過ぎない。。だから、見えているものは、人それぞれに異なり
動物によっては、全く異なる色・形を見ている。
この虚空は、何かによって形成されているのでなければ、何かにより
造られたものではありません。初めからありてあるものであります。
そして、それは変化することもありはしない。これが虚空の本体です。
私たちが普段見ている生滅変化しているものは、私たちの心の働きが
生滅変化しているのです。虚空そのものが生滅しているのではありません。
その心の働きを実在している、実像だと思い込んで迷っているのです。
私たちの本心というものは、この虚空のごとくであります。
{平成27年11月15日 南嶺老師 日曜坐禅会『伝心法要提唱』より}