一日一語 ㉘ ~住職研修会編~
「残されたもののつとめは、明るく生きることです。」
これは震災で親族をなくされた方にお伝えしたことです。
悲しみに寄り添うとか、悲しみを聴いてあげるとかということも
大事ですが、もう一つお坊さんの大事なことは、「こういうことだ!」と
強く言ってあげることであります。
親しい人を亡くされて、どうしたらいいかわからない人に
「残されたもののつとめは、明るく生きていくことですよ」と強く
言ってあげる。
坂村真民先生に「鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ」とあります。
真民先生は、晩年には「断定」ということを言われました。
理屈ではないんです。どうして飛ばねばばらないのか?どうして生きねば
ならないのか?と理屈を言っていたところで解決はつきません。
私たち禅宗の本領は、理屈抜きで「こうなんだ!」「生き残ったものは
明るく生きるんだ!」と肚に力を入れて強く言い切ることであります。
それが大きな力となるのです。単にいっしょに悲しむのだけではなく
「残されたものは、明るく生きるだ!」と言ってあげる。
真民先生には、「一寸さきは闇という人にはいつも闇がくっついて歩き、
一寸さきは光だという人には必ず光が射してくるのである。これは理屈ではない
信念信仰なのである。」という言葉があります。
これは、真民先生の断定の祈りです。
どうして光が来るのかと理屈を言っていては話になりません。
私たち禅宗の本領は、理論・理屈を裁断することです。「明るく生きるんだ!」
「明日は光だ!」「そう信じて生きていこう!」そういう力を目覚めさせて
いくのが禅の大事なところであります。
{平成27年11月5日 四派合同住職研修会 南嶺老師垂示より}