一日一語⑪
<僧堂・開講>
白隠禅師に「雪を担って古井を塡(うず)む」という言葉があります。
井戸を塡めるのに土や石であれば、塡めることができますが、
雪で塡めようとしても、井戸水は温かいものですから、どんどん溶けて
消えていってしまう。
この言葉は、願いというものを願い続けて生きることを表しています。
確かにあらゆる人の悩み苦しみを全部なくすことは、理想であるけれど
到底不可能なことです。しかし、実現しないからといって、あきらめて
しまったら、それまでであります。
あきらめずに、どこまでもどこまでも、自分は願いを続けて生きていけば
その願いは、世代を超えて生きていくものです。
願いもまた、永遠なのです。
永遠の願いの中に自分の一生を精一杯、力を尽くして生きていくんだという意味で
「雪を担って古井を塡(うず)む」という言葉が使われています。
{平成27年10月22日 南嶺老師 TKC坐禅会提唱より}
(後記)
円覚寺僧堂では、今日、雪安吾(10月~1月の修行期間)開講(講義初め)でした。
午後からは、居士林にて企業の坐禅会があり、南嶺老師はその坐禅会でも
提唱をされました。
横田南嶺老師による偈(漢詩)