致知「十牛図提唱」
十牛図① 尋牛
この十牛図は、南嶺老師が雲水時代に書写されたものに
昨日、南嶺老師が左端にある絵を描き足したものです。
十牛図② 見跡
今日は、居士林に於きまして、致知出版社の若手社員とその若手読者の会(若獅子の会)
21名が参加され、横田南嶺老師の「十牛図提唱」の録音と撮影が行われました。
南嶺老師による「十牛図提唱」は、数回に分けて録音されたのちに
致知出版社から販売される予定です。
南嶺老師が提唱されたことをまとめてみました。
「祖禰(そねい)了ぜずんば、殃(わざわい)児孫に及ぶ」という言葉が
あります。通常は、祖先の祀りごとをきちんとしておかないとそのわざわいは
子や孫の代にまで及ぶぞという意味ですが、しかし、これは今日で言うような
何とか商法のように脅し文句で使っているわけではありません。
あくまで、たとえで言っているのであって、禅的には、今、私たちが本当に
正しい教えに目覚めなければ、自分はもちろん、子や孫の代にまで苦しみを
及ぼすということを言っています。
今の時代もまさしくそうです。今、私たちが正しい判断、正しい生き方を
選んでおかなければ、苦しむのは、私たち世代だけでなく、子や孫の代に
及ぶまで苦しい思いをするのです。
物質的な世界にとらわれ、争いの世界にばかり執着して生きていると
自分ばかりが苦しむのではなく、子供や孫までが苦しむようになる。
正しいものの見方をして正しい生き方をして正しい判断を下して
いかなければ、そのわざわいは子や孫に及ぶ。だから私たちの修行は
決して自分一人のことではない、次の世代にまでおよぶ大事なこと
なのです。
(後記)
参加者は、1時半に及ぶ提唱の後、南嶺老師ご説明のもと国宝・舎利殿を拝観し、
最後に南嶺老師との懇談会をして解散となりました。