よく調える
ー山百合(ヤマユリ) 山内・黄梅院にてー
制末大攝心 5日目
横田南嶺老師が今日の僧堂攝心で提唱されたことをまとめてみました。
どんな人も仏心を持っているということは、お釈迦様が説かれた真理です。
しかし、悪いこともしても、何ら反省をしないもいます。そんな人にも
仏の心があるのか?と思われるかも知れませんが、そういう人にも仏心が
あるということはまごうことのないことです。
仏心とは人間の善悪の世界を超えた大きな働きであるからです。
ただし、お釈迦様は、いかにどんな人にもこの仏心があるとはいえ、
心を調えなければならない、欲望に振り回されてはいけないということを
繰り返しお説きになりました。
眼でみたもの、耳で聞いたもの、鼻でかいだもの、舌で味わったもの、
体に触れたもの、それら五欲に振り回されてはいけない。
あたかも杖で牛を飼い馴らすように、牛がよその畑に行って勝手に他人の
作物を食べないように。常に杖で持って制御する、調御するようなものです。
五欲をほしいままにするほど恐ろしいものはない。自然災害は一時的なもの
ですが、五欲による禍は一瞬では終わらない、一代限りでも終わらない、
禍は累世に及んでしまいます。
火山噴火、地震、洪水と自然災害は怖ろしいものですが、しかし、
最も恐ろしいものは、制御することができなくなった人の心こそ
恐ろしいものはありません。
同じ一つの心が、よく調えておけば仏になり、五欲をほしいままにすれば
魔にもなる。そこのところを私たちは、よく弁えておかねばなりません。