対機説法その3
イエール大学坐禅会の質疑応答の続きです。
学生:禅と他の宗教との関係は?
老師:学問もそうですが、他に宗教は、お互いの宗教の違いを見つけることが多い。だから、限界がある。
それとは逆に我々禅は、お互いの良いところ共通しているところを見つける。違うところは
お互い目をつむる。自分と違うものの中に楽しみを見つけていく。
学生:修行は厳しいのですか?
老師:修行の時、厳しいのは逆に、親切なのです。修行を終えてお寺に入れば
そこには現実にもっとつらい生活が待っていることの方が多い。修行時代に
思うようにいかない、つらい体験をしていれば、お寺で多少の困難に遭遇しようと
「修業時代に比べたら」とまだ、耐えられる。
学生:良い悪いと判断する基準は何か?
老師:自然に順応することは良いことであるし、逆に自然を破壊するものは悪いものです。
学生:時代が下るにつれてクオリティが下がるという「末法思想」を禅ではどう考えますか?
老師:禅では人間の善し悪しは時代が変わっても、あまり変わらないと考えます。いつの時代でも
やればちゃんとできる。人間の心は善もあれば悪もある、それはいつの時代も変わらない。
学生:動物は弱肉強食ですがそれをどう思いますか?
老師:それは自然なこと。ただし、必要以上に無駄に殺すことは避けなければいけない。
(後記)
これらの質問は皆さんも驚きことと思いますが、アメリカの大学に通い日本の文化などを勉強
している外国人の方がされたものです。私たち日本人も見習わなければならないような内容でした。