総力をあげて
7月29日(月)
横田南嶺管長が先日、提唱されたことをまとめてみました。
長い人生、時には「死にたい」と思うほど、辛く苦しい時期も
あると思います。そんな時に「あなたのどの辺が死のうと思っているのか?」
省みてください。
あなたの足は死のうとしていますか?ちゃんと大地を踏みしめています。
あなたの足は死のうとはしていない。あなたの手は立派にあって、
お茶碗を持ったり、戸を開けたりしている。手も死のうとはしていない。
あなたの内臓も食べたものを一生懸命消化しようとしている。内臓は
死のうとしていない。目は「死のう」と思ったら、見えなくなりますか?
そんなことはない、ちゃんと見えるはずです。
私たちの体の細胞というのは60兆あるといわれています。そのうちの
果たしてどこが死のうとしているのでしょうか?体のほとんどすべては
みな生きようとしている、それが真実です。
人間が生まれて来る様子を見てみてもみんな「おぎゃー!おぎゃー!」と
生きようと思って生まれてくる。死のうと思って生まれて来る人は一人もいない。
現に体の細胞は各々生きようとして活動をしている、それが真理です。
一時的な自分の考えや思いこみでそれらすべてを否定してしまうのは
やはり正しいこととはいえません。
人間がものを考え思うのは素晴らしいはたらきですが、それが過剰に
マイナスにはたらきすぎるのはよくありません。汗を流して体温を調節したり
おなかがへったりと全細胞がせっかくこのいのちを生かしていこうとはたらいて
いるのです。
うそをつかないのが体です。体全身は何とか生きようと思ってあらゆる総力を
あげてこのいのちを支えています。寝ている間も止むことはありません。
「もう死んでしまおう」と思っても体の中では内臓などがいのちを生かそうと思って
一時も絶えることなくはたらいている。
そのはたらきこそいのち、仏様そのものなのです。
そんな素晴らしいいのちを今こうして生きているのです。
(平成25年7月27日 臨済録提唱より)