浩然の気
1月20日(日) 制末大攝心・初日
管長様が僧堂攝心で提唱されたことをまとめてみました。
明治時代の円覚寺初代管長であられる今北洪川老師は、「孟子」
の中の「浩然の気」という一文に出会ったのが禅の道に進む一番の
きっかけでありました。そしてこの「浩然の気」を生涯行じたので
あります。
ではこの「浩然の気」と何でありましょうか?それは天地にみなぎる
気であります。この大宇宙の主人公になった気持ちで、どっかりと坐禅を
する。腰骨を立てて丹田・肚を練っていれば、「自分は天地一杯のいのちを
生きているんだ!」体で感じ取ることができるはずです。
この天地一杯のいのちが「浩然の気」であり、天地一杯のいのちを
生きることが禅の道といっても過言ではありません。
次のような俳句があります。
たえてさく 花にいのちを 重ねけり
おそらく、寒中に、枯れ木に見まごうばかりの、梅の老木に咲く
一輪の花を自分のいのちと重ね合わせた歌であろうと思います。
「浩然の気」とは、また、天地に恥じることのないいのちとも
申し上げていい。枯れ木に咲く一輪の花が咲いている姿は、すなわち
天地一杯のいのちの姿であります。
わがいのちをその精一杯咲いている一輪の花に重ね合わせて
恥じることのない生き方をしているか?
洪川老師は、「浩然の気」を体悟して「私の体の内に
蓄えていた気がこの世界に満ちあふれている。どこもかしこも
光で一杯になっている」と気づかれました。
皆さんには、ぜひこういう体験をしてもらいたい。
万作(まんさく) <黄梅院>