目の前の真実
9月16日(日)
管長様が土日坐禅会で提唱されたことをまとめてみました。
次のような公案(禅の問題)があります。
ある僧が尋ねました。「この移ろいゆく肉体を離れて
堅固法身、つまり、移り変わらないものはどこかにありますか?」
それに対して別の僧は「山には花が満開で、その美しさは錦をならべたようだ、
谷川の水が渕をなして真っ青なことは藍を湛えたようだ。」と
答えました。
私達はついつい「どこかにこの移ろいゆく肉体を離れて移り変わること
のない永遠不滅のなにかあるのではないか」と考え回って妄想をふくらませて
逆にマイナスの方向に向かいがちです。
しかし、大事なことは、「どこかに堅固法身、移り変わることない、
永遠不滅のものはずだ」という自分や相手の妄想・分別、思いこみを
つぶしていくことであります。ましてや、相手の妄想・分別を増やして
しまうようなことは言ってはいけません。
そして、「永遠不滅のものがどこかに有りはしないか」と頭の中で
理屈をこね回すよりも、庭に咲く一輪の花を見、外に吹く風に
吹かれてみたらどうですか。
今、目の前にあるあのか細い生きものの中に真実が堂々と
現れているのであります。
そういうものに触れて、「自分はとらわれていた」「自分は
方向性が間違っていたんだ」と気づいて修正して、妄想・分別を
打ち砕いていくのであります。
アザミ