仙さん
7月7日(土)制末大攝心3日目
管長様が僧堂攝心で提唱されたことをまとめてみました。
仙和尚というと飄々としていておもしろい逸話がたくさん
伝えられています。軽妙とか洒脱と言う言葉で表現されて
います。
しかし、改めて仙和尚の修行の様子を学んでみると
師匠の月船和尚のもとで実に命がけの修行をしている
のであります。悩みに悩んで最後は自らいのちを断つ
ところまで思い詰められました。
仙さんは、そういう苦労の体験を経てのあの軽妙
洒脱な禅風なのであります。
こんな逸話があります。菊を大事にしているお殿様が
いました。その菊を身分の低い小姓の武士が誤って
折ってしまい、それがわかってしまったらその小姓は
打ち首になってしまうかもしれない状況になりました。
それを聞いた仙さんが夜、こっそり城に忍び込んで
お殿様が大事にしている菊をすべて切ってしましました。
そして、翌日、お殿様はもちろん「何をするんだ!」と怒りましたが、
仙さん「たとえ小姓であっても、菊とどちらが大事でありますか。」
と諫められたそうです。いくら、仙さんとはいえ死罪になりかねない
状況の中で身を投げ出して小姓を救ったのでありました。
「身を殺して仁をなす」とありますが、自分一身を投げ出して
仁を行う。己を殺して、慈悲を行う姿であります。
この己を殺す、自我意識を殺す、もうどうにもならなくなるくらい
絶望の淵に自分を追い込む。
その悩み苦しみ、苦悩をした分だけ人は本当の慈悲というものが
身についてくるのではないでしょうか。