心の宝
4月8日(日)
管長様が本日の日曜説教会で提唱されたことをまとめてみました。
新聞に被災者の方へ向けての手記が載っていました。
それは、平成9年に起きた神戸連続児童殺傷事件で、
その当時小学4年生だったわが子を惨殺された
お母さんからのものでした。そのお母さんは次のような
ことをおっしゃっています。
「(命より大切なわが子を亡くして)悲しみ苦しみは時が
癒してくれるとよく言いますが、5年、10年と経とうとも
大事な家族を失った悲しみ苦しみは、いつも新しく
よみがえってきて、心の区切りをつけられるものでは
ありません。
しかし、一歩一歩積み重ねてきた時間の恩恵は
想像以上に大きい。苦しんだ五千数百日を経て、
ゆったり高いところにたって眺めることのできる
力を与えてくれた。今、あの子がいた頃と同じように
くったくなく笑い、心の底から喜ぶことができるように
なった。
自分のこの体験を通して被災地で悲しみ苦しんでいる
人に伝えたいことがあります。
それは、どんな困難に遭ったとしても心の宝は
こわれることはないということです。この15年間
私達家族は、絶望や目の前の壁の挑んできましたが
しかし、どんなに苦しくてもあきらめなければ必ず
笑顔や幸せを取り戻せる。
心の宝がある限り、人は何度でも立ち上がることが
できる。このことをこの度、被災され悲しみ苦しんでいる
人すべてに、私の体験から身をもってお伝えしたい。」
このお母さんが言われたことはお釈迦様の教えと一つ
であります。お釈迦様は、誰でも例外なく心の宝を持って
生まれてきていると仰せになっています。
「天上天下唯我独尊」とはこの心の宝のことであります。
私達はめいめい一人一人、天にも地にもかけがえのない
心の宝を持って生まれてきていると言うことであります。
人はどんな苦難に遭遇しようとも、心の宝は
決してこわれることはないのであります。そして
何度でも立ち上がることができるのであります。