南無阿弥陀仏
1月9日(月)
こちらは坂村真民先生が傘寿(80歳)の時に揮毫された
「南無阿弥陀仏」の直筆です。昨日の日曜説教会に坂村先生の
娘さんがおいでになっていて、終わった後、こちらの墨跡を
管長様に贈られたそうです。
坂村先生が昭和40年頃朝比奈宗源老師のいられた円覚寺を
訪れたとき、門の所に
「となうれば仏もわれもなかりけり
南無阿弥陀仏なむあみだ仏」
という一遍上人の歌が大きく掲げてあり、禅寺に上人の歌が
と思いながらもそこが禪のいいところだと、しばらくなつかしく
眺めていたという逸話があります。
たまたま日曜説教会のお話の中で、管長様がそのことについて
ふれられていたので娘さん、ご自身お持ちした「南無阿弥陀仏」の
墨跡との偶然の一致にたいそう驚きになったそうです。
管長様も仰せになっていましたが、因縁・ご縁はいろんな
ところに重なり合っている、まさに「重々無尽」です。
こちらは、書右上に押されている坂村先生の「たんぽぽ」の印です。
昨日紹介した「たんぽぽ魂」ですね。
一遍上人が「南無阿弥陀仏」のお札を配って人々を何とか
救いたいと願い続けたように、坂村先生も紙一枚の両面に
詩を書き毎月ごと、1200人もの方にお配りになられたそうです。
その際、宛名は全部先生ご自身が、まるで「南無阿弥陀仏」と
清書されるように一つ一つお書きになられたとのことです。
最後に坂村先生の詩を紹介します。
「死のうと思う日はないが
生きていく力がなくなることがる
そんな時 お寺を訪ね わたしはひとり
仏陀の前に坐ってくる
力がわき明日を思う心が出てくるまで
坐ってくる」
管長様が震災復興のこういう時期だからこそ
この詩を多くの人に知らせることができたならと
おっしゃられていました。