此の身再び得ず
10月28日(金)
昨日、午前中、黄梅院にローカルテレビの取材が来ました。「寺宝」という
ことで管長様に相談したら、「表信」の掛け軸がいいだろうということで
それを紹介させていただきました。
「表信」円覚寺197世東海禅師 揮毫。
信を表すとは、「この衣は、信を表す。」という言葉が由来です。仏法の信実を
伝えた証拠として、師匠から弟子にその象徴としての衣や袈裟などを伝える習慣が
あります。実際に伝法の証となる袈裟が円覚寺開山無学祖元禅師が
中国・径山寺から持参し、黄梅院開山夢窓国師を経て、現在に至るまで脈々と
伝えられています。
黄梅院の山号は、「伝衣(でんね)」で衣を伝えると書きます。
仏法の信実の象徴である衣を伝えること。仏様の教えを後世まで
お伝えすることであります。
こちらの扁額は、円覚寺202世洪川(こうせん)老師 揮毫です。
「天地に万古(ばんこ)あるも、此の身再び得ず。
人生只だ百年、此の日最も過ぎ易し。」
出典は、<菜根譚>です。
この宇宙は永遠不滅であるけれども、このいただいた自分の
命は限りがあり、この人生はたった一回切りのかけがえのない
ものである。宇宙の時間から比べれば、一瞬のように短いこの
人生、だからこそ一日一日を大切に生きていこう!
かなり意訳してしまいましたが、本当に含蓄のある心に
響く言葉です。
夕日に映える秋明菊。きれいですね。