麦を踏むように
5月9日(月)
先日、円覚寺山内の龍隠庵での開眼供養の法要に
たまたま、随喜させていただきました。
龍隠庵の裏の崖沿いの階段を上って、見晴らしの良い場所に
その石像仏が安置されていました。その前には祭壇が用意され、
前管長様が導師で法要がはじまりました。観音経を奉誦致しました。
法要終わり、階段を下っていくと、前管長様が僧堂知客さんと私に
次のことをおっしゃいました。
「いいか、お経を読むときはな、麦を踏むように読むんだよ。
若い君らにはそんな経験がないかもしれないが、麦を踏むようにな。
あまり、はりあげたり、抑揚をつけたりしたらいかん。
じっくり、ゆったり、一歩一歩踏みしめるようにな。
結局、それが一番聞いてる人の心を落ち着かせるのだよ。」
有り難いお言葉を頂戴致しました。
僧堂にいると一所懸命、精一杯、声を出してお経を読みます。
しかし、ある程度年を経たら、そればかりでは足りません。
いろいろと工夫をして、聞く人をいやせるようなお経を
あげることができるようになりたいものです。