天台声明(てんだいしょうみょう)
金沢仏教文化講演会に招かれた折には、
私の講演は第二部で
第一部は、天台声明でした。
声明とは、独特な節をつけて唱えるお経です。
本格的な声明を聞くのは初めてで
しかも約一時間ほどでしたので
そんな長時間聞くというのは
どのようなものなのか
退屈したりしないかと
心配してまいりました。
また平素から、大事な仏事である儀式を
ホールなどで行うはいかがなものかという
思いもございました。
しかし、実際に聞いてみると
すばらしいものでありました。
さすが、伝統のすばらしさを実感しました。
長い時間を少しも苦にすることもなく
ありがたい思いに満たされたました。
始まりに少し天台声明とは
どのようなものなのか簡単な説明があっただけで、
あとは、延々と声明を聞くだけ、
唱えられている経文がどのようなものなのか
どんな意味なのかは全く分かりません。
しかし、ただ聞いていてありがたいのです。
お経の意味が分からないので
もっと分かるようにと求められることもありますが、
たしかに言葉で解釈して理解することも
仏教を学ぶには必要です。
言葉ではなく知的な解釈でもなく
ただ、有り難い、
大いなるものに懐かれていることの安らかを実感するというのも
仏教を学ぶ上でとても大事なことであります。
天台声明などを拝聴しますと
我々のお経は、とても洗練されたものとは言えませんが、
それでも、一生懸命に
ありがたい気持ちでお唱えして
安らかを感じられるようなお経をあげられるようになることが
大事だと思いました。
横田南嶺