諏訪中央病院で講演
長野県茅野市にある
諏訪中央病院での講演を無事に終えました。
諏訪中央病院からの依頼で
「怖くない死を迎えるために」
~禅僧と漢方医と住民と病院職員で考える終活講座~
という勉強会でした。
まず、なんといっても、僧侶として病院で話をするのがはじめてです。
病院の方に聞いても、僧侶が講師になってきたのもはじめてだそうです。
普段の会は70名くらいの参加だと聞きましたが
当日はなんと170名の方々ご参加くださりました。
開口一番、
「私もいろんなところで講演してきましたが
病院ははじめて、
こちらの病院でもお坊さんが来るのがはじめてだそうで、
皆さん、初ボーズが珍しくてお見えくださったのかと……」と
言って笑っていただきました。
死について考える、こんな企画に
これほど多くの方々集まってくださり、
熱心に話を聞いてくださり、熱く語り合うことができたことに
私自身驚きと感動で会を終えました。
私が一番伝えたかったのは、
「誰しも人は母から生まれます、
そして死は帰ることだと説かれています。
帰るということは、もとのところに帰ることですから
母のもとに帰るのだと受け止めています。
死は誰にとっても初めて体験となりますので
恐れもあれば不安もあります。
私自身も『死はなぜ怖いのか』という本を櫻井先生と
出していますが、
正直初めてのことは不安で怖いものであります。
でも、不安がっても
ビクビクおそれていても、それをすべて包み込んで
くださるのが母の懐だと思っています。
子供が一日精一杯遊んで、遊び疲れて
母の懐に安心して抱かれるように死を迎えられると
おもっているのです」
ということでした。
なにも死は、すべてを失う「喪失」であるとか
医療の「敗北」とか考えずに、大いなる母のもとに帰ることだ
受けとめるということを伝えました。
私の漠然とした話のあと
櫻井竜生先生が理路整然と言葉にならない世界を
どう表現するのか、懇切にご講演くださり、
二人で対談して、そのあと
小人数のグループに分かれて話しあいました。
みな和気藹々とした雰囲気で楽しそうに
死について語り合っているのが素晴らしかったです。
一番最後のしめの言葉として私が
「死について考え、語り合いました。
中には何かわかったような気がした方もいらっしゃるでしょうし、
どうも何だかよくわからない方もいらっしゃると思いますが、
どうぞ、ご安心ください、
わかろうとわかるまいと皆死にますから(笑)」と
つまらぬ話で終えました。
横田南嶺