護摩祈禱
禅のお坊さんが、護摩祈禱を
受けるなど、不思議に思われるかもしれません。
高尾山では、護摩祈禱が
毎日決まった時間に行われていますので
その時間に合わせて申し込みをして
祈禱を受けてきました。
願いは、ただ修行僧達が無事に修行できますように。
そして、世の中が安穏でありましょうに。
修行僧達を大勢預かっていますと
一番気になるのは、けがや事故がないようにと
いうことなのです。
その点は、世の親御さんが
わが子の無事を祈るのと変わりあません。
とくに、この頃は、自分と同年配の和尚方の
子供達を預かるようになりましたので、なおのことです。
真言の護摩祈禱は、
ホラ貝が鳴り、太鼓が響き、炎がめらめら燃えて
力強さを感じます。力をいただくという思いがします。
私も、他の信者さん達に混じって
神妙に祈禱してもらいました。
いつもは、導師の席に坐っていることがほとんどですが
時には、信者の席に坐ってみるのも勉強になります。
禅では、大般若経の転読以外に
あまり祈禱を行っていませんが、
しかし、
祈禱、祈り、
純粋に祈る心は、すばらしい人間性の発露だと思います。
祈ることは、生きる力になります。
身分は隠していたのですが
終わった後に、諸堂を案内してくれたお若いお坊さんが
私に名刺をくださいましたので
思わず、こちらも名刺を渡してしまいました。
あとで、管長が来ていたらしいと噂になったかもしれません。
少々お財布から私費を奮発して
大きなお札を頂戴してきました。
立派なお札をいただくと
なにか有り難くて
安心感が得られます。
横田南嶺