高尾山にさる園があって
雲水達と共に見てきました。

七十数頭も飼育されているそうです。

説明によれば、このさる達の
世界には、厳しい順序があるのだそうです。
ボスのさるから、上位のさる、その下位のさると
厳密に決まっているのだそうです。

時に、餌をもらっても、さる同士が争って
取り合っていたり、
そうかと思えば、分け合っていたり、
人間の営みもあまり変わらないのではないかなと
思ってみていました。

さる山に生きていると、
ボスがあって、厳しい順序もあるのでしょう。
ときには争いもあるのでしょう。

しかし、少し離れてこちらから見ていると
みんな、おなじおさるで、
多少、争うとしても、
みな微笑ましいさる山の景色です。

お互いのこの世界も、
平等をうたいながら、差別は無くならず、
争いもまた絶えません。

しかし、この人間の世界を
仏さまの眼から御覧になれば、
きっと、みな微笑ましい、いのちの世界に
映っているのではないかなと

さる山のさるを見ながら、思っていました。

横田南嶺