今日の出来事
製硯師(せいけんし)
上京のついで、
年末年始の揮毫に使う筆や墨を購入しようと
浅草の宝研堂を訪ねました。
宝研堂の青柳貴史さんは、
いつもお世話になる白山のお寺の総代さんの親戚にあたる方で、
昨年ご著書『硯の中の地球を歩く』をいただいて、一読し、
製硯師とは、石の切り出しから、加工、研磨まで
硯のどんなことにも対応できるプロという意味らしく、
日本では、貴史さんお一人とのこと。
あいにく、貴史さんは、出張中でご不在でしたが、
お父様であり店主の青柳彰男さんが、
硯工房を案内してくださいました。
硯を削るのは、力が入りそうだなと思って見ていると、
やってみませんかと言ってくださったので、
お言葉に甘えて体験させてもらいました。
両脚を踏ん張り、全身の力を込めないと削れません。
大変なお仕事だと、実感しました。
貴史さんの著書は、老舗の若き後継者が
一途に仕事に取り組む熱意のあふれた
いい本です。
今の日本に、こんな若者がいてくれるのだと
思うだけでも、幸せな思いがします。
横田南嶺