icon_arrow-r_01 icon_tryangle icon_search icon_tell icon_download icon_new-window icon_mail icon_p icon_facebook icon_twitter icon_instagram icon__youtube

臨済宗大本山 円覚寺

臨済宗大本山 円覚寺

  • 円覚寺について
  • 拝観案内・アクセス
  • 境内案内
  • 年間行事・法要
  • 管長のページ 2025.06.18 更新
  • 法話会・坐禅会・
    写経会
  • 御朱印・御祈祷
  • 円覚寺売店
  • お知らせ
  • Q&A
  • リンク

© 2019 ENGAKUJI
ALL RIGHTS RESERVED.

お問い合わせ

2022.09.08
今日の言葉

呼吸は嘘をつかない

呼吸法アドバイザーの椎名由紀先生から、信樂香仁さんの本を教わりました。

信樂香仁さんと聞いて、つい最近お亡くなりになったという報道を見た記憶がありました。

私ども宗教界の新聞である『中外日報』に、

鞍馬弘教管長、総本山鞍馬寺貫主の信樂香仁さんが七月四日にお亡くなりになったという記事がありました。

九十七歳であったそうです。

記事には、

「一九二四年、京都府生まれ。天台宗から独立し、鞍馬弘教を開いた香雲氏の長女。京都府立第二高等女学校卒。四四年に鞍馬寺に入山。同寺執行、鞍馬弘教宗務総長を経て、七四年に管長兼鞍馬寺貫主に就任した。」

と書かれています。

早速読んでみた本が

『すべておまかせ ~京都・鞍馬寺94歳女性貫主が教える あるがままの生かされ方~』という題のものです。

トゥーヴァージンズという出版社から二〇一八年一〇月に出版されたものです。

「私が「京都に最も近く、最も深い自然」と呼ばれるこのお山に入ったのは二十歳のとき。

終戦(一九四五年)の一年前のことでした。

その後、先代貫主だった父についてお寺のお勤めをしながら、五十歳で貫主に。

気づけば、いつの間にか九十四歳です。

おかげさまで、よくこの年まで生きてきたと思います。
いや、生かされてきたと言ったほうがいいですね。

自然豊かなお山で日々過ごしていると、「生かされている」ことを当たり前のように実感します。

私が生きてきた九十年余りの間に、日本もずいぶんと変わりました。

「より早く、より便利に、人間の思い通りに」という社会を、みんな脇目もふらず目指してきたように思います。

一方で、今少なからず人々が自然を求めてあちこちへ足を運ぶのは、心のどこかで「あるがまま」の姿にどうしようもなく心惹かれるからではないでしょうか。

そして、これは人間の生き方にも通じていると思うのです。

自らに訪れたことを受けとめ、「あるがまま」に生きてゆく。

自然体で生きてゆくー。

簡単なことではないかもしれませんが、自然のように「あるがまま」に生きてゆこうとすると、些末なことに惑わされることなく、まるで太陽のように明るく前を向いて生けてゆけるようになるのではないでしょうか。

きっと皆さんも、今背負っているものが少し軽くなるはず。

私はそう信じています。」

とまえがきに書かれています。

やさしい自然体の文章にこころが和みます。

椎名先生が注目されていたのは、やはり呼吸のことでした。

三十一日分の言葉を集めて説かれている章のはじめ、一日に

「姿勢を正し、深い呼吸をして元気に生きよう」という文章がありました。

一部を引用させていただくと、

「本来、天地に満ち、万物生成の根源である精気、元気(鞍馬山ではこれを尊天という)に包まれて、私たちは生かされている。

素直な心で元気を身心に満たして生きることが肝要である。

そのために大切なのは、正しい姿勢と、深く長い呼吸と、食物である。

私たちの肉体は、生命活動そのものの現われであり、 尊天よりの預りものである。

その肉体を大切に、強く正しく保ってゆかねばならない。

そのためには、姿勢を正す習慣をつけ、他の生命を頂いて自分の肉体を養っていることに深い感謝を捧げながら、調和のとれた食物を摂ることである。

また呼吸は、生命活動をするために宇宙生命(尊天)よりエネルギーをいただく大切な絆である。

太く大きく確かな絆で、深く大きく呼吸するよう常に心がけたい。」

と書かれていました。

そして

「呼吸は嘘をつかない。

深く長い呼吸は、心を豊かにし身体を健やかにして、素直に明るく生きる力を授けてくれる。」

と結ばれています。

長生きされた方の言葉には説得力があります。

私もかつて京都で修行していた頃に、なんどか鞍馬の山に登ったことがありました。

托鉢で貴船に行って、貴船から鞍馬の山まで歩いたものです。

山の空気が好きで、素晴らしかったという記憶があります。

また登ってみたいと思いました。

岡田虎二郎の岡田式静坐法の呼吸を調べているといろいろ学ぶことがあります。

柳田誠二郎著『静坐のすすめ』には、

「呼気は息を徐々に出しながら下腹に力を入れる。

息は静かに細く長くする。

古来から言われるごとく鼻の先へ卯の毛をつけておいても吹きとばされない位に静かでなければならない。

また息はこれを全部出し切ってしまうと息がはずんで胸で吸うことになるから、二分位を残して吸気にかかる。

なお下腹に力を入れると言われると息をとめてイキムことがあるが、これは絶対にしてはならない。

吸気は腹に入れた力を、すこしゆるめると息は鼻から肺底まで瞬間に入って来る。
息を意識的に吸う必要はなく、また意識的に吸うことはむしろ避けなければならない。」

と書かれています。

古い本で『岡田式静坐の力』という本には、

この息を吸う時には、上腹部に吸うのであり、下腹が小さくなるというのです。

そして吐くときには、この上腹部すなわち鳩尾の部分を落ちるだけ落ち込ませて丹田を張り出して吐くのであります。

単にお腹をふくらまして吐くというのと、微妙に異なるのであります。

特にこの鳩尾を落とすというのが大事なところであります。

確かにこういうことを細かく気をつけて、姿勢を調えて呼吸をするとより一層深い呼吸が味わえます。

「呼吸は嘘をつかない」という、九十七歳まで長生きされた信樂香仁さんの言葉を力強く思います。

 
横田南嶺

呼吸は嘘をつかない

前の記事
次の記事

カテゴリー

  • 僧堂提唱(37)
  • 坂村真民 詩(88)
  • 掲示板 (今月の詩)(31)
  • 今日の言葉(2113)
  • 今日の出来事(164)
臨済宗大本山 円覚寺

〒247-0062 鎌倉市山ノ内409  
TEL:0467-22-0478

  • 円覚寺について
  • 拝観案内・アクセス
  • 境内案内
  • 年間行事・法要
  • 管長のページ
    • 管長侍者日記
    • ビデオ法話
    • 回覧板 (おしらせ)
  • 法話会・坐禅会・写経会
  • 御朱印・御祈祷
  • お知らせ
  • リンク
  • 円覚寺売店
  • Q&A
  • お問い合わせ