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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.03.26
今日の言葉

その時かぎり、その場かぎり

今週は珍しくラジオの収録が二回もありました。

ラジオというと、かつてNHKラジオの深夜便や宗教の時間に出たことがあります。

渋谷のスタジオまで出掛けて収録したのでした。

今週のラジオというのは、一つは「仏教伝道協会 presents サタデー☆ナイト仏教」という企画です。

もうひとつは、元NHKアナウンサーの村上信夫さんからの御依頼で、鎌倉FMの収録でありました。

鎌倉FMというのは、どういうものなのか詳しくは存じ上げないのですが、なんでも1994年に開局されたFM放送なのだそうです。

ただいまはインターネットでも聴くことは可能らしいのですが、何でも災害時などには、インターネットが使えない場合もあるらしく、そういう時にはラジオ放送は有力なのだそうです。

ラジオは乾電池ひとつあれば聴くことができるのだと、鎌倉FMの方が仰っていました。

ラジオというと懐かしい思いがします。

かつて中学、高校の頃は、専らラジオを聴くのが楽しみでありました。

もっとも宗教の時間が一番の楽しみだったのでした。

そこで松原泰道先生の『法句経講話』を聴き、また昭和五十三年に松居桃楼(とうる)先生が『天台小止観』を講義されたのも拝聴して感銘を受けたのでした。

妙心寺派管長に就任された山田無文老師の講話もラジオで聴いたのでした。

鎌倉FMは、長谷の旧鎌倉市消防本部長谷出張所の3階にあります。

彼岸の中日に収録したので、車で行くのに、道が混んでいて時間がかかるだろうと思って出掛けたのですが、そういう時に限って意外にすいていて早めに着くことができました。

先方を待たせるよりは早く着いて待っていた方がよろしいものです。

村上先生は何度お目にかかってもお元気そのものであります。

今回のラジオは月乃南さんという方の番組でありました。

ゲストとして招かれて出向いたのですが、収録が始まってゲストを招いたのが今回が初めてだと聞いて驚きました。

てっきりいろんなゲストを招いていて、人材が枯渇したので声をかけられたのだと思っていたのでした。

収録時間はわずか二十八分ほどであります。

村上さんは、さすが元NHKアナウンサーでありますので、始まる時の音声の確認や、時間配分などはお見事でございました。

手元にストップウォッチのようなものを置いて始めたのですが、なんとそのストップウォッチのスタートボタンを押し忘れていたらしいのですが、ほぼ時間どおりの正確さでありました。

四つばかりの質問に答えるという簡単な収録でありました。

一番最初に「鎌倉の好きな場所」を聞かれました。

村上さんは「当然円覚寺になりますか?」と尋ねられましたが、これははっきりと違いますと答えました。

残念ながら、円覚寺だけは、好きとは言い難いのです。

というのは、円覚寺にいても、いつもあそこの枝が枯れているとか、あそこにゴミが落ちているとか、今日は土曜日なのに人出が少ないとか、折れそうな枝はないかとか、そんなことばかりが気になってしまいます。

寺にいて、あまりいいなと思うことは少ないのです。

もっともたまに長らく外出して帰ってくる時だけは、やれやれホッとすると共にいいなと感じるくらいなのです。

ではどこが好きと答えたのかは、ラジオを聴いてのお楽しみと言いたいところでありますが、「ここが好きです」と明確に答えることはしませんでした。

決して好きな場所がないわけではないのです。

東慶寺に行けば東慶寺が好きだなと思うし、浄智寺に行けば浄智寺がいいなと思います。

なにせ浄智寺の和尚は、ただいまの鎌倉FMの社長でいらっしゃいます。

お彼岸のお忙しい中を、わざわざ収録に駆けつけてくれたのでした。

更に、建長寺に行くと建長寺がいいなと思いますし、八幡宮に行くと八幡宮がいいなと思うのです。

行くところ、好きな場所なのです。

そうかといって、好きだと思っても、また行きたいとは思わないのです。

それは執着になります。

行ったら好きになる、去ったら終わりなのです。

とりわけ、ここが好きだというと、逆に好きでない、嫌いなところができてしまいます。

嫌いなところを作りたくはありません。

人生百年時代といってももう残り半分を切ってしまいましたので、嫌いなところを作らずに、どこでも行ったところが好きな場所という風に生きたいのです。

だんだんとこの頃記憶も衰えてきていることもあって、記憶というのは良い面もあれば悪い面もあると感じています。

記憶がないと、どこに行っても初めて行くところで新鮮な感動があることになります。

そんなことを話すうちに、つい口が滑って、「行くところが好きになるという性格だと、恋愛はできませんね、会った人がみな好きになる、素晴らしいと思ってしまいます。それでとうとう独り身で来たのかな」などと下らぬことを言ってしまいました。

そんなこんなで村上さんとの話は大いに盛り上がりました。

楽しいと思ううちに、村上さんの絶妙なしきりによって、ほぼ時間通りに収録できたのでした。

月乃さんと村上さんに深く感謝します。

そのほかの質問にも楽しい話で盛り上がりましたので、放送を聴いていただければと思います。

放送は四月二十日らしいのです。

これは収録のはじめに、今日は四月二十日、二十四節気の穀雨ですと村上さんが話をしていたのでわかりました。

二十四節気を大切にされるところも村上さんらしいと感じました。

それからもうひとつ感動したのは、収録を担当してくださった局長さんであります。

音などをチェックしながら録音してくださっているのですが、私のくだらない話のひとつひとつに大きくうなずきながら収録してくれたのです。

こういう仕事は私など慣れてはいますものの、やはり誰か反応してくださると、話がしやすいものです。

長年こういう仕事に携わっている方の熟練ぶりに頭が下がりました。

あのひとつひとつ大きくうなずいてくれたおかげで、どれほど話し安かったかわかりません。

白隠禅師が、七歳の時に休心坊というお坊さんから「時ぎり場ぎり」ということを教わったのでした。

「時ぎり場ぎり」というのは「即今当処、常に今ここを意識し、余念をまじえない」ことです。

その時かぎり、その場かぎりの出会いと感動を大切に生きてゆきたい、それが「時ぎり場ぎり」です。

村上さんとは、また四月に東京湯島の麟祥院で対談することになっていて、その日に会うことを楽しみにお別れしたのでした。

 
横田南嶺

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