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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.01.23
今日の言葉

あなたを輝かすものは

昨年末に、故郷の和歌山県新宮市に行って講演したことが夢のようであります。

わずか一月経っただけで、全く別の世界になったようであります。

一月の末に、円覚寺に駒澤大学の小川隆先生にお越しいただいて、講演を行う予定でありました。

これは円覚寺の主催の行事ではなく、建長寺様関係の方の会でありますが、ここ数年来一月の末に、小川先生と私との講座を開いていたのでした。

昨年も計画を立てていながらも、中止せざるを得なくなりました。

今年こそはできるだろうと、昨年の暮れまではずっと思ってきました。

そのために準備も進めてきたのでした。

年が開けても、まだだいじょうぶだろうと思っていましたが、残念ながら中止となってしまいました。

中止となると、楽しみにしていたのに残念だとよく言われます。

言っていただくことは有り難いことです。

しかしながら、やはり一番残念なのは講義をする当人だと思います。

少なくとも聞く方よりも、準備などをして来ていますので、急に中止というのは、苦労して積み上げてきた砂の山をあっさりと崩されるような感があります。

そして、このようなことを繰り返すと、だんだん気力が萎えてくるのであります。

今回も、二年ぶりに小川先生と共に講義ができる、小川先生にも久しぶりにお目にかかれると楽しみにしていました。

小川先生はとても人気があるので、小川先生のご講義となると多くの方が集まってくれます。

この大勢集まるということが、よくないとされますので、なんとも仕方ありません。

今年は盤珪禅師について講義をする予定でありました。

今年が生誕四百年にあたるのだそうです。

小川先生は、鈴木大拙先生と盤珪禅師について講義される予定でした。

実に盤珪禅師のことに光を当ててくださったのは、大拙先生にほかなりません。

私は、盤珪禅師については何度も講義をしてきていますが、盤珪禅師と公案禅について話をしようと思っていました。

盤珪禅師の教えを学ぶことによって、公案を用いる禅の問題点が見えてくると思うのであります。

お坊さんの聴衆は極めて少なく、一般の方で、禅に関心のある方々の集まりなので、公案禅についての問題点、現代の禅修行の問題点などをかなり踏み込んで話をしようと思っていたのでした。

また準備したことは、どこかで話ができるだろうと思ってあきらめることにしています。

思えば、この二年このようなことの繰り返しだったように思います。

中止にします、延期にしますとばかり言われ続けてきました。

あたかもその一言一言で、不要不急だと言われるように感じたものであります。

否定されることには、修行時代から慣れていると思っていたものの、これだけ続くとやはりこたえるものです。

やれやれ、これも仕方なしと思っていると、知人から個人詩誌を送っていただきました。

その巻頭にある言葉が心に響きました。

あなたを輝かすものは
案外
この冷たい雨
だったり
するのかもしれない

という言葉です。

雨に打たれながらもきれいに咲いている花の写真に添えられた言葉でした。

誰しも冷たい雨は嫌なものです。
避けたいものです。

冷たい雨に打たれ続けると、体を壊してしまいます。

しかし雨を避けることができないのもお互いの人生であります。

コロナ禍という、行事の中止延期が続く、この冷たい雨も、避けるのではなく、この雨に打たれてまた輝きを発することができるようになるのではないかと思い直したのでした。

言葉の力を改めて思いました。

折から厳しい寒さが続きますが、梅の花もしっかりつぼみをふくらませているのです。

そんなことを思っていると、曹洞宗の青山俊董老師から本を二冊送ってくださいました。

直筆のご丁寧なお手紙を添えてくださっていました。

このところご病気を繰り返しておられるとうかがっていますものの、美しい筆跡からは衰えを感じさせません。

鴻盟社から出された『光ある人生へ』と

春秋社から今年出されたばかりの『美しく豊かに生きる』という本であります。

二冊ともに、本の扉に直筆のお言葉が書かれていました。

「ほほえみで喜びの花を咲かせよう」

「声なきを恨まず
耳なきを恥じる」

という言葉です。

青山老師は今愛知県にある尼僧堂の堂頭をおつとめでいらっしゃいます。

そして長野県の塩尻にある無量寺というお寺の住職もなさっていました。

無量寺は青山老師が出家されたお寺であります。

その無量寺の夏の結集という研修会に三年前に招かれたのでした。

一昨年も昨年も同じように夏の結集の講師を頼まれたのでしたが、一昨年と昨年と共に延期になってしまったのでした。

今年の夏には是非とも講師をというご丁寧なお手紙だったのでした。

この青山老師のお言葉に心打たれました。

二度も延期になりましたが、それでもなお今年こそはという思いを持ち続けておられるのであります。

ふたつのご著書や同封していただいた『無量寺だより』という冊子を拝読しても病をとおして猶学びを深めておられることがよくわかります。

まだまだ私も気落ちしてはいられないと気持ちを引き締めたのでした。

あなたを輝かすものは 案外 この冷たい雨だったりするのかもしれません。

冷たい雨に打たれてしおれてしまうか、より一層輝きを増してゆくのか、心ひとつの持ちようであります。

 
横田南嶺

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