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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.01.02
今日の言葉

恵風あまねく

新年の本山行事は、仏殿での歳旦諷経から始まります。

大晦日には、除夜の鐘を撞いて、未明に修行道場で歳旦の儀式を勤めます。

まず本堂の床の間に、達磨大師の絵像を掲げます。

円覚寺の僧堂では、釈宗演老師が描かれた達磨像を掲げます。

その達磨大師に、師家である私と共に修行僧一同が、恭しく三拝をします。

そして一同で、一椀のお茶を喫して、今年も新たな気持ちで修行しようとお互いに誓います。

その後に、円覚寺山内の和尚方が皆仏殿に集まって、祈祷をはじめます。

まず円覚寺独特の儀式で、無言行道というのを行います。

行道というと、普通は「楞厳呪」というお経を唱えながら堂内を歩くのですが、無言行道ですので、文字通り無言でただ行道するのであります。

その間、鐘と太鼓が鳴り響くのです。

合掌して無言で歩きながら、今年一年の平和を心の中で念ずるのであります。

そして、管長が歳旦の偈を唱えます。

今年は、

円覚場中、淑気生じ、
光明殿裏、法雷鳴る。
恵風和暢、沙界に周く、
四海浪穏やかに、太平を致さんことを。

という偈であります。

およそ意訳しますと、

円覚寺の中も、さわやかな春の気配がしてきている。
円覚寺の仏殿である光明宝殿には、太鼓が鳴り響いている。
暖かい春風が穏やかに吹いて、この世界中に行き渡り、
どこもかしこも波穏やかに、天下太平でありますように。

というところです。

淑気は、春の、穏やかでさわやかな気配のこと。
法雷は、仏法が雷のように鳴り響くことですが、ここでは太鼓を指します。
恵風は、恵みの風。万物を生長させる暖かい風のことです。
和暢は、のどかなこと。
四海は、四方の海、四方の海に囲まれたその中、世界・天下のことです。
昨今の日本周辺が穏やかでありますようにという意をこめています。

もちろんのこと、新型コロナウイルス感染症が収束して、穏やかな風が吹いてくれますようにという心をこめています。

偈を唱えて、大悲呪を皆で唱えて、

今上天皇の聖寿万歳を祈り、世界の平和を祈るのであります。

その後、方丈に席を移して、大般若経の転読を行います。

大般若経は六百巻もある大部の経典です。

それを一巻ずつパラパラと偈文を唱えながら、読んだことにします。

読んだのと同じ功徳があるとされています。

その間に唱える偈文が、大般若経で説かれている教えの真髄と言われています。

諸法皆是因縁生
因縁生故無自性
無自性故無去来
無去来故無所得
無所得故畢竟空
畢竟空故是名般若波羅蜜

という偈文です。

般若の空思想の端的が説かれています。

すべての存在は、皆様々な原因や条件によって起こるものである。

条件によって生じるので、それ自体変わることのない自性というものはない。

自性がないので、去るとか来るということもない。

去ることも来ることもないので何かを得るということもない。

何も得るものもないので、結局は空というほかない。

結局空なのでこれを般若波羅蜜―智慧の完成―と名づける。

という意味であります。

般若経は一言でいうと、空を説いています。

空とは何か、これが難しいのです。

ここでは、因縁生であることが一番おおもとになっています。

因縁生というと、舎利弗の話を思い起こします。

舎利弗は、仏教の教団に入る前には、六師外道のひとつである、サンジャヤにつちて学んでいました。

六師外道というのは、お釈迦様と同時代のマガダ地方あたりで活躍した、お釈迦様に先行する六人の思想家のことです

外道といいますが、決してひどい人ではありません。

元来は仏教語で、「仏教以外の教え。また、その教えを奉ずる者」と『広辞苑』にも解説されています。

懐疑論者ともいわれていたサンジャヤのもとで学んでいた舎利弗でしたが、同じ村から共に出家して学んでいる目連と共に、懐疑論の教えには満足できないものがありました。

そんなある日のこと、舎利弗は王舍城の一角で、偶然にもひとりの修行者を見かけました。

姿勢正しく、端厳で気品あふれるその姿に舎利弗は心惹かれました。

この修行者こそは、お釈迦様と共に出家し、お釈迦様の最初の弟子となったアッサジでありました。

舎利弗は、このアッサジに、あなたの師は誰なのか、そしてその師はどんな教えを説いているのかを聞きました。

アッサジは、

諸法はすべて因縁より生ずと
師、常に説き給う
諸法を断ずるなれば、おのずから涅槃に入ると
師また宣説してやまず

と答えたのでした。

人は皆自我があるから、苦しむのです。

自我こそが滅すべきであると気がついて、舎利弗は目連にこのことを伝えました。

目連もまた喜び、二人共にお釈迦様のお弟子になったのです。

その時には、二百五十名のサンジャヤの弟子も共にお釈迦様の弟子になったのでした。

『般若経』で説かれる空ということは、何も無い、無ということではなく、すべての事物が無自性(むじしょう)にして縁起することを意味します。

因縁によって生じるから無自性であるというのです。

自性というのは、それ自身で存在するという本体、もしくは独立し孤立している実体のことをいいます。

自分だと思い込んでいるものは、それ自体で存在するものではなく、いろんな原因や条件によって、仮に現れて、あるように見えているだけに過ぎないのです。

ですから、自分というものも、自分のものという所有物も皆幻に過ぎないのです。

そのように見てゆくのが、般若の智慧です。

そうすると、自我に対する執着がなくなります。

執着がなくなるので、一切の苦しみから解放されることができると説くのであります。

さて、そのように大般若経を転読して、朝の祈祷が終わると、日中はただひたすら年賀のお客様の応対をしています。

年賀に見えた方には、恵風と書いた干支の色紙を差し上げるのです。

自我意識の枠が破れて、穏やかな恵風の吹く年となるように願うのであります。

 
横田南嶺

恵風あまねく

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