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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.12.16
今日の言葉

『タンポポだより』

坂村真民記念館から『タンポポだより』三十九号が送られてきました。

これは愛媛県砥部町にある坂村真民記念館が発行している記念館友の会の会報誌であります。

年に四回発行されています。

坂村真民記念館は、来年の三月で開館十年となります。

記念館は、東日本大震災から一年経った平成二四年の三月十一日に開館されました。

これはひとえに坂村真民先生ご息女西澤真美子さんとご主人の西澤孝一さんご夫婦が、力を合わせて開館されたものであります。

記念館の館長は西澤孝一さんでいらっしゃいます。

西澤館長は、愛媛県宇和島のお生まれであります。

高校時代、宇和島南高校でブラスバンド部に入っていらっしゃいました。

西澤館長が高校二年生の時に、一年生で入ってきたのが、坂村真民先生の三女である真美子さんでいらっしゃいました。

のちに西澤館長が、『自選坂村真民詩集』を読んで、その中に真美子という名が出て来て、ブラスバンド部の坂村真美子さんのお父さんだと知ったのでした。

その後、西澤館長と真美子さんとは不思議なご縁でご一緒になられたのでした。

私とのご縁は、平成二三年の秋のことでした。

ある日のこと、突然西澤真美子さんから私宛に手紙が届いたのでした。

西澤さんは、『法光』という冊子に、私が坂村真民先生の「バスのなかで」という詩について書いていたのを御覧になって、手紙を下さったのでした。

『法光』の平成二三年のお盆号に書いたのでした。

あの東日本大震災が起きた夏の記事であります。

その一部を紹介します。

「詩人の坂村真民先生に「バスの中で」という長い詩があります。

大意を要約しますと、坂村先生があるときこみあうバスに乗っていました。

折から核戦争の危機が叫ばれていた頃でしょう。この地球はこれからどうなるのか、明日どうなるのか不安に思っていると、一人の少女がきれいな花を自分よりも大事そうに高々と差し上げて乗り込んできました。

幼い小さな少女ですから、混んだバスで押し合って花を傷めてはいけないと思って高々と差し上げていたのでしょう。

その姿を見て坂村先生は、ああこれでよいのだと思いました。たとい明日、地球がどうなろうとこのような愛こそが、人の世の美しさなのだと。

たとえ核戦争で、この地球が破壊されようとそのぎりぎりの時まで、こうした愛を失わずにゆこうと涙ぐましいまで清められるものを感じたと詠われます。

今まさにかつて無い様々な問題が起こっています。

私たちはこの世がたとえどうなろうとその最後まで一輪の花を愛する心を失ってはなりません。

花はもろいものです。無常です。朝咲く花が夕方にはしぼんでしまうものもございます。けれでもその無常なればこそ、その時その場で精いっぱい咲きます。本当に無我です。誰が見ていようが見ていまいが、その場で与えられた日の光、大地の養分を一杯に吸って精いっぱい咲きます。

無常であり無我であればこそ、お互い慈しみ、支え合う心が大事です。

この無常であり、無我であることをしっかり見据えて、お互いに慈悲の心、思いやる心をもって、この場所でこの時を精いっぱい生きてゆくこと、これこそが仏心の発露です。

目の当たり無常に触れて目覚めるのは、私達が本来持っている仏心、仏さまのこころです。」

というものです。

西澤真美子さんからの手紙には、坂村真民の詩を引用する人は多いけれども、「バスのなかで」を引用する人は少ないと書かれていました。

真美子さんは、私が「バスの中で」を引用したというのは、

「それは真民詩を熟知されているということ、そしてそれ以上に真民のもっとも詩人たる感性が光っている詩のひとつであることを解してくださっている」と感動されたそうです。

そこで、震災から一年経ってオープンされる坂村真民記念館に、私の書を送って欲しいというご依頼だったのでした。

そこで私は、坂村真民先生とは高校生時代からずっと大学卒業まで文通していたご縁があること、今でも毎月坂村真民全詩集八巻を読んで、掲示板に墨書して掲げていることを書いて、先生の詩を送りました。

巻紙で手紙を書きますので、これは優に二メートルは超えたろうと思います。本当に長い手紙になりました。

それから、ご縁が始まったのです。

西澤さんご夫婦も何度も円覚寺にお越しくださいました。

私も何度も記念館に足を運びました。

それがもう十年になるのであります。

十年の間、この「タンポポだより」を出し続け、記念館では、企画展を続けてこられたご夫婦のご苦労を思うと頭の下がる思いであります。

今号の巻頭には、真民先生の「念」という詩が書かれています。

先日の日曜説教でも紹介した詩であります。

 念
念はわたしの体と心のすべてである
体が弱かったから
強くなろうと念じた
背が低かったから
大きくなろうと念じた
どん底に落ちたから
這い上がろうとと念じた
何もかも劣っていたから
コンプレックスを持ち
念じてこのコンプレックスと
戦ってきた
念は生まれた時から
わたしの丹田の中で養われ
タンポポのように強くなった
念によってわたしは
真の人間になった
だから念は
わたしの骨髄であり
不動明王の剣である

この詩なども真民先生のお心をよく表しています。

またこの「念」を西澤ご夫婦も受け継いで記念館を守ってこられました。

今回のタンポポだよりには、西澤館長が、

「私と妻とは来年には七十三歳になり、だんだんと気力と体力が減退してきてます。

是非とも皆さんのお力をお貸し下さい。どうぞよろしくお願いいたします」

と書かれています。

もしご関心がある方は、記念館のホームページを御覧になってください。

そしてまた愛媛県砥部町の記念館に足を運んでいただけますなら何よりの喜びであります。

 
横田南嶺

『タンポポだより』

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