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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.06.30
今日の言葉

笑う修行

六月一日に、「笑いやまず」と題して、小欄に書いたことがありました。

日本講演新聞の五月二十四日号の社説に書かれていた、愛知県に住む理学療法士である伊坪浩幸さん(60)のことです。

伊坪さんは、二十数年うつ病を患い苦しんでいたのだそうです。

それが「笑いを使った腹式呼吸」でうつを克服し、それを普及させるため、全国を講演して回っているという方です。

社説にも、伊坪さんの笑いのことを、

「腹の底から響き渡り、幸せが広がっていくような彼の笑い方は「プロの笑い」を感じさせる」と書かれています。

そんな伊坪さんですが、かつてひどいうつ病を患っていたそうなのです。

薬も服用されたのですが、その副作用にも悩まされて苦労されたというのです。

一番辛かったのは、その苦しみを誰も理解してくれなかったことだと語られていました。

それが、ある方から、「笑い」を勧められてました。

その方というのは、がんから「笑い」で回復された方だというのでした。

「とにかく、笑いまくれ」という言葉に従い、伊坪さんは、車で一時間かけて通勤するその車中で、「がんが治るなら、うつ病は当然治るだろう」と三年間笑い続けたのでした。

しかし、いっこうに改善の兆しがなかったのでした。

それでも笑っている間は、気分が沈むことがないので続けていたそうです。

ある女性の方から、腹式呼吸で腹から笑うときっと効果がありますよとアドバイスを受けました。

それを実践すると、笑いを進化させたことによって、劇的に症状は改善し、うつは消えたと書かれていました。

そんなことを紹介したのが、ご本人のお耳に入ったようで、ご丁寧なお葉書を頂戴しました。

是非、この体験を伝えたいという熱意あふれるお葉書に心打たれて、先日円覚寺にお越しいただいて、そのお話を拝聴しました。

素晴らしい方でした。

まず何と言っても明るい方です。

お目にかかっただけで、元気をいただけるような方です。

腹式呼吸で笑いを実践されているというだけに、声が明るくてほがらかで大きいのです。

そのお声を聞くだけで、こちらの気持ちの明るくなります。

「笑う修行」と題して、体験談をお話いただいて、更に実地に笑う修行を講習していただきました。

どんな呼吸法なのか、私は大いに関心がありました。

呼吸法については、岡田虎二郎の岡田式の呼吸法をもとにされているとうかがいました。

その呼吸も三段階に分けて説明してくれました。

第一は、胸式の呼吸で、これは伊坪さんがはじめの頃に行っていた笑いであります。

まだ腹式呼吸をしていない頃で、それでも大声で笑うと、不安や怖れは消えるのだそうですが、それは一時的なもので、また沸いてきて、不安や怖れを根から断つことはできなかったと仰せになっていました。

それからある女性から教わった腹式呼吸を取り入れたのでした。

息を吐く時には、お腹が背中にくっつくくらいにへこませて、腹から声を出すというものです。

これを伊坪さんは、「前後の腹式呼吸」と名づけておられました。

下腹部を前後に動かすのであります。

息を吸ってお腹をふくらまし、息を吐いてお腹をへこますというように、お腹をふくらましてはへこませと前後に動かすのであります。

これでかなりうつが改善されたというのです。

さらに「上下の腹式呼吸」を加えたと仰っていました。

この「上下の腹式呼吸」については、ここで説明するのは難しいのですが、足を肩幅に開いて立って、足に力を入れて、膝を伸ばしながら息を吸って丹田に落とし込み、フッと力をゆるめて息を吐くというものでした。

こちらは主に吸い込むことに意識を向けるというのです。

吸った息を下腹に落とし込むことに意識を向けるというのでした。

私は、「上下の腹式呼吸」という言葉から、逆腹式と言われるように、息を吸ってお腹がへこみ、息を吐いてお腹がふくらむ呼吸かと思っていました。

似たところがあるようにも思いました。

ともあれ、前後の腹式呼吸に上下の腹式呼吸を加えておこなうことによって、丹田を前後と上下からマッサージすることになって、うつ病の症状が完全に消えて薬も用いなくて済むようになったというのです。

伊坪さんの仰せでは、うつは脳の病ではなく、自律神経の機能の低下からくるものだとして、自律神経の集まる丹田を前後上下にマッサージすることによって、改善されるというのです。

この丹田開発のひとつにすべてをかけて努力されたのでした。

これは内観の法という丹田呼吸で病を克服した白隠禅師に通じます。

伊坪さんは、がんにしても多くの病はストレスから来ると話しておられました。

そのストレスを日々燃やしていかないといけないというのです。

そのために笑いは効果的なのです。

しかも笑いはいつでも、どこでも、誰でもできますし、お金はかからないし、道具もいらないのです。

疫病神はあるとも仰せになっていました。

それは二十四時間怖れと不安をもたらすというのです。

常に怖れと不安をもたらして、自死へと誘い込むのだそうです。

笑うことを疫病神は嫌うというのが伊坪さんがご自身の体験から得たことです。

笑いを武器にして疫病神と闘ってやろうと思ったというのです。

そうして、修行僧たちと共に、伊坪さんが実践されている丹田開発法を習いました。

前後の腹式呼吸、上下の腹式呼吸、そして、笑いを実践しました。

伊坪さんの明るさにつられて、久しぶりに大声で笑い合ったのでした。

なんとも清々しい気持ちになることができました。

伊坪さんは、こんなご自身の体験から少しでも多くの人に腹式呼吸で笑うことを説かれているのです。

また理学療法士である伊坪さんは、長年病院のリハビリテーション科で整体をなさってきているので、今も整体も行っているというのです。

多くの人の身体を治してあげながら、更に笑いを勧めておられるお姿は、実に菩薩のような方だなと思ったことでした。

 
横田南嶺

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