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臨済宗大本山 円覚寺

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2020.10.25
今日の言葉

ハートフルネス

スティーヴン・マーフィ重松先生から、新著『スタンフォードの心理学授業 ハートフルネス』を送っていただきました。

マーフィ重松先生とは、2017年にZEN2.0で、藤田一照さんを交えてお互いに鼎談してからのご縁であります。

アメリカのマインドフルネスの先生と、日本の藤田先生と、それに私とではどんな話になるのか不安で臨んだことを覚えています。

こちらは、当時(今でも)そもそも何がZEN2.0なのか、2.0というのが何なのか分かっていません。

その時にマーフィ重松先生には、既に『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』という著書があって、私もあらかじめその本を読んで鼎談に臨んだのでした。
その鼎談では、アメリカのマインドフルネスの先生と、日本で禅の最先端を行かれる藤田先生とに対して、私は愚かな伝統の世界にたたずむ「井の中の蛙」として、ボケ役に徹して、専ら場を和ませることだけに専念していました。

そのおかげなのか、それ以来マーフィ重松先生とは親しくなって、何度も円覚寺にお越しいただいています。

マーフィ重松先生のあたたかいお人柄と、生徒さんに対する愛情のこもったマインドフルネスの教えには、私もすっかり魅了されています。

今年も、来日を予定されていたらしいのですが、残念ながら新型コロナウイルスの影響で来日出来ずにいらっしゃるのです。

遠くアメリカにいらっしゃっても、私如き愚僧を忘れることなく、新著をお送りくださったお心には深く感謝します。340ページの厚い本なのですが、有り難く読み進めています。

マーフィ重松先生は、母親が日本人で、父親がアイルランド系アメリカ人で、日本でお生まれになり、アメリカで育ったという方でいらっしゃいます。

そこで、本書の中でも

「若いころから私は、人には違ったあり方、行い方、考えや感情があり、どれが正しいとか間違っているということはないとわかっていました。

人生では「どちらか」であることは稀で、「どちらも」であるほうが普通だと身に染みていたのです。

私は経験から、さまざまな要素が入り交じっているのが人間の本質だと知りました。

私たちは神になろうと望むことができる一方で、不完全な人間であるのも事実です。

すべてがひとつである真実を見つめながらも、エゴのとらわれになるという、ふたつのリアリティを生きているのです」

と述べられています。

こういう曖昧さは、日本的なのだと思います。

そして、

「マインドフルネスの実践によって私は、人間とは基本的にいろいろな要素が混合した存在であり、両極の間にあるものなのだという古くからの智慧に触れました。

私自身の混血と、多国籍と、多文化の経験と出自からの学びから、ハートフルネスの考え方が生まれました」

というのです。

マインドフルネスとハートフルネスとどう違うのかというと、マーフィ重松先生は、

「今日のマインドフルネスの動きには、大きな可能性があると思います。マインドフルネスのプログラムは、

学校、ビジネス、行政機関などさまざまな場で導入され、ストレスを軽減し、健康な精神状態における能力と柔軟性を養う効果的な学びを提供しています。

生物学や、認知的理解、脳の機能面からのマインドフルネスへのアプローチは瞑想への抵抗感を大幅にやわらげ、エビデンスにもとづく研究結果によって、

それに一般的な合理性が備わりました。

しかし科学的側面に重点が置かれると、マインドフルネスは利益追求の功利主義に傾き、ハートから離れていってしまいます。

知性と意志さえあれば何でも実現できるという幻想に閉じ込められるのです。考えが科学に偏りすぎると、

理性や理屈だけでは、真。美、慈愛などは理解できないという真実が見えなくなってしまいます」

と指摘されているのです。

そこで、

「ハートフルネスは、小さな自我を超えた大いなるものとつながることによって、目的を見いだすことに重きを置きます。

ハートフルな生き方は、他者の人生をより良くすることに意味を見いだすのです」

と書かれ、更に

「ハートフルであるとは、内なる沈黙と静けさによって、開かれたハートを育てること、自分とすべての存在に対してより人間らしく、思いやり深く、責任を持てるようになることです」

と説かれています。

実に興味深く、あたたかいマーフィ重松先生のお顔を思い浮かべながら読んでいます。
 

横田南嶺

ハートフルネス

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